夢想曲1

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とりあえず疑問は増えるばかりだが話を続けてもらった。


「それで、その時オレは唯一あるらしい窓を見てて何か仕掛けが無いか探してたんだ。

そしたら窓の縁に小さなボタンがあるのを見つけた。

何のボタンか考えてたら緑間の声とカントクと黄瀬の悲鳴に驚いて思わずボタンを押して…

椅子に乗ってたはずなのに突然足元に穴が空いて落ちて、気付いたら火神たちが居た」


「つまり…そのボタンを押したから伊月さんと森山さんが入れ替わったということですか」

「恐らくな」



場所的に二人が入れ替わるとか無理ありすぎない?

森山さんは書庫から離れた場所で集団行動してたし伊月さんは椅子に乗って窓を見てた。

なのに足元に穴が空いたって言うのに上から落ちてきた?地下(仮)から1階(仮)に?


この洋館の仕組みについて考えれば考えるほど頭が痛くなってくる。

一体どういうことなんだ。話を聞いていると地図を作っても意味がないようにも思えてくる。


うーんと考えていると次にリコさんが話を進めるために口を開いた。



「私と黄瀬君が目を覚ましたのは書庫に落ちる直前よ。気付いたら真っ暗な空間で落ちてるんだもの…

春日さんたちが話をしてくれて現状は理解したけど、私の鞄の中に見覚えの無い日記帳が入ってたわ。

けどコレ鍵がかかって開けれないみたいなのよねー…」


「ん…?……あぁぁああぁっ!!?」

「「「!?」」」



リコさんが鞄から出した日記帳が施錠されているのを見て私が見つけた鍵と脳内で照らし合わせる。

するとピッタリだったので思わず大声をあげると宮地さんや花宮さんにうるせェ!!と怒鳴られた。ふぇええん


隣に座る赤司くんを見ると鍵を出したところで日記帳を開けてみるかと問いかけた。




「…まずは僕たちの探索結果を話してからにしよう」

「それもいいけど話ばっかで疲れてきたんだけど」

「流石青峰君ですね。となると火神君もでしょうか」

「青峰と一緒にすんな…って言いたいところだけどその通りだな」

「んー、実はオレも青峰っちと同じっス」

「3馬鹿ですか」

「ねぇなんか黒子くんやけに辛辣じゃない?」

「気のせいです」

「ふむ…なら休憩も挟んでからもう一度集まって鍵を開けることにしようか」

「りょうかーい」



他のみんなにもそれでいいかと聞けば満場一致で頷かれた。


探索結果を話すのは…青峰くんは馬鹿だし赤司くんは優雅に足を組んで口を開こうとしない。

あーはいはい私が話すんですね赤司くんが話した方がより分かりやすいと思うんだけどなぁ…。


そう不満にはおもうものの中々口には出せない。

え、だって赤司くんだよ?寧ろ赤司様だよ?口に出したらどうなると思ってんの私終わるよ?


心の中で些細な葛藤をしながらも目線で早くしろと伝わってきたので話し始める。



「えっと、私達は予定通り白い部屋に行きました。

それで窪んでるところにビー玉を嵌めたところ最初みたいにシュインッってドアが開いたの。

で、部屋の中に入って何も無かったから出ようとしたらこの鍵を見つけたんです」



もはや最初はなかったのにいつの間にか出てきてるなんてことはこの洋館で疑問に思っちゃいけないのかもしれない。

この洋館自体がおかしいから、と考えれば万事解決じゃなかろうか。



「ただの現実逃避なだけなんだけどね!!!!!したくもなるわくそっ!!!」

「おーい雨倉心の声筒抜け〜」

「ハッ!?つい…」

「まぁその気持ちは分からなくも無いけど…」

「だよねー」



春日先輩に注意されてもう心の声を漏らさないようにしなければと気を引き締めた。

ん?気を引き締める場面違うってか。まぁ細かいことはいいんだよ。


降旗くんに同意されて嬉しくなっていると津川が納得いかない顔で言った。


「はぁ!?あの部屋なんにもなかったじゃん!!」

「だって急に出てきたんだもんよー」



私にもわけがわからないよと言うがまだ納得いかないようだ。

主将が落ち着け、と言って背中を軽く叩いたら不満げではあるものの大人しくなった。

話が脱線しかけてたから津川が否定してくれて助かったところがある。ありがとさん。


津川が戻してくれた話を続けるために口を開く。
 
 

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