夢想曲1

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鍵が突然現れたことに対し津川がまだ納得いかないようで…。


「だっていくら探してもボタンしかなかったじゃん」


「急に現れたのに私も疑問に思ったけど、黒子くんたちが目を覚ました部屋に原さんたちも来た。

それを考えればもしかしたら一度捜索した部屋全てに何かしらの変化が表れてるかもしれません。」


「確かにな…何かこの洋館について手がかりがあれば探索する場所も絞れるんだが」

「中々見つからないですもんね…」

「この日記帳に書かれていればいいんだけど…」

「そもそも何を書いてるのかも分からないし誰が書いたのかも何も分かってねぇしな」



私が言った事に対してリコさんや花宮さんなの頭脳派の人たちは了解と頷いた。

一方、頭の弱い青峰くんや火神くん黄瀬くんに状況についていけていない降旗くんや福田くんは…うん。

あとでちゃんと説明したらいいかな。投げやりとか言わないでね。


事実、何人かは時差があるものの同じ部屋に来る人が居る。

それに新しい部屋や階段も増えているので賛同されなくても探索することになるしね。


また探索に出かけたときにこの洋館全体の地図とかあればいいんだけど…

例えばこの状況をゲームを基準に考えていても何が条件でトラップが発動するのかも分かってないし。

攻略本とかとりあえず地図がほしい。けど中々ヒントも与えてもらえないバードタイプなら無理だろう。


あーもうややこしいし面倒臭いなぁこの洋館。


もやもやとしていると赤司くんが続きを話した。

出来れば…最初から話してほしかったです…



「…鍵を拾って大輝と桃井が居たというハッタリの壁があった所に向かった。

ハッタリの壁の奥は行き止まりだと思っていたがまた新たに階段が現れていてね…

一度此処に戻ってからもう一度来ようかと話していたが人が居た場合を考えて途中まで降りようとした。

その直後、階段の下から数人の悲鳴が聞こえて僕と大輝より早く雨倉が反応して階段を駆け下りて行ったよ」


「…雨倉……?」

「…ごめんなさい」

「雨倉さん…」

「ご、ごめんなさい」

「……雨倉」

「ごめんなさい体が勝手に動いたんです轢かないでください!!」



説明した後に赤司くんがハァ…とため息をつくと降旗くん、黒子くん、宮地さんの順で名前を静かに呼ばれた。


なんなんだよ静かに呼ぶってところが一番のホラーだよ!!!

特に宮地さんとか黒くて素敵な笑顔を見せながら呼んできたもんだから土下座の勢いで謝ったよ。


居た堪れない気持ちになってひぇぇええと思いながら話題を逸らすために話を続けた。



「そ、それで階段を駆け下りてたんですけどどうも悲鳴の元に近づけなくて。

ずーっと同じ場所を駆け下りてたんで非常に迷惑かつ鬱陶しい能力を持つ化け物に捕まったようでして。

ループ中に嵌められるやつだったんですけど壁から顔が浮き上がってきたんでとりあえず蹴りました。」


「とりあえずで蹴れるもんだっけ?」

「原、コイツに常識を求めるな」

「はいよー。それでループから抜け出せたの?」


「酷い…。あ、はいこの通り抜け出せました。

そのまま階段を降りていると化け物がちょうどいい位置に居たので膝蹴りを食らわしたら消えて…」



そこまで言うと「ちょうどいい位置…?」「階段を駆け下りた勢いのまま…?」と軽く引かれた。


なんだよ…なんだよ悪いか。あれでしょ女の子に守られてて惨めに思えてきたんでしょ。

なんてね。女子が化け物に悲鳴をあげず立ち向かうことに引かれてるんだろうけどね。


私の場合グロは全然いけるし悲鳴あげて女子力アピールするより技決めて主将に褒められるほうが断然良い。



「3人を見て無傷だったんで安心してたら後ろから襲われかけました」

「なにしてんの?」

「警戒心解くなよ」

「まぁまぁ怪我はしてませんから。斧持ってたんで離してから延髄斬り食らわせたんで大丈夫です。」

「え、なに延髄斬りって…何の技?」

「「「「プロレス」」」」

「声揃えんな」



プロレスの蹴り技の一種ですよー気になる人はググってみてね←


ちょくちょく声をはさまれるから話が進まないが話さなきゃ進まないので続ける。



「それで斧持った奴の後ろにも10体居たんで足技オンリーで技をかけていって全滅させました」

「「「「チートかっ!!!」」」」

「足技オンリーで何分かかった?」

「5分かかってなかったぞ。つーか残りの10体倒す前に軽くストレッチしてたし」


「階段に居た鬱陶しい奴のほかに少し頭を使える奴もいるようで挟み撃ちとかしてきました。

なので他にもこういう面倒臭い能力持った奴とかいるかもしれないんで気をつけてください」


「分かった」



主将や春日先輩、津川にそう言うと本当に面倒臭い奴いるんだなと愚痴をもらしていた。

他の人がチートと言ってくる中、赤司くんは良い動きだったよと改めて褒めてくれた。


私も単純なほうだけど赤司くんも褒め上手っていうか扱い上手だよね…
 
 

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