夢想曲1

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どうも、雨倉です。


リコさんのマッサージの痛みはまさに地獄そのものでした。

ハッとしたら部活中で主将たちがミニゲームをしていたので今まで夢を見ていたのかと思いました。


まぁそれが夢だったわけなんですけどね。


マッサージは部屋の隅で行われてて…回りのみんなは耳を塞いでた。


ちょ、赤司くんも耳塞いでる可愛い!!降旗くんにいたっては謝る。すげぇビビッてる。ごめん。


一緒に来てくれた桃井ちゃんにしがみつきながらマッサージを受けた。

ほぼ記憶が飛んでるけどひたすら悲鳴を上げたのだけは覚えてる。喉が痛い…。



「ハイ終わり!次の探索までじっとしてなさいよー」

「……」

「双葉ちゃんよく堪えたね、えらいえらい」

「……」

「…双葉ちゃん?………双葉ちゃぁぁあん!!?しっかり!!気を確かに!!!」

「木吉はアレに堪えた後気絶してなかったって言ってた気がするんだが…」

「女子にも容赦ねぇなカントク……」



桃井ちゃんに揺さぶられて出かかっていた魂が戻りハッとする。

危ない、あともう少しで料理してる骨格標本に近づくところだった…あれ死神か何かかな。


しかし痛みはまだ継続してるので桃井ちゃんにグッタリともたれかかる。



「お〜い、雨倉生きとる〜?」

「……な、ん……とか…」

「声ほっそ」

「死にかけか」

「先輩も地獄の痛みを味わえば良い……道連れだ…」

「地獄から這い上がってきてる声になったんだけど。雨倉まじで大丈夫かよ」

「けど疲労回復できる人材が居るって思えば大分心強いんじゃねぇの〜?」



特にコイツなんかは無理するし、と言った春日先輩にデコピンされた。

ひぎゅっと小さく悲鳴を上げたが力が無い。


しかもその悲鳴もスルーされた。もう本当正邦の私に対しての扱いななの泣きそう。

誠凛の人を見習ってよみんな心配してくれてるよ赤司くんでさえちょっと窺ってくれてるよ。正邦ひどうぃ…


軽くイジけていると降旗くんに声をかけられた。優しいね本当…



「だ、大丈夫…?」

「少しずつ軽くなってきた…」

「顔死んでんぞ」

「そんなことは…あ、マユゲくん」

「誰がマユゲだッッ!!」

「ウソだよウソ。火神くんだよね。私も1年だしよろしくねー」



桃井ちゃんに抱きしめられながらそう言うと、おぅ。と返事してくれた。


その後は戻ってきたリコさんにちゃんと手首をテーピングしてもらった。

来た時に小さい悲鳴あげてごめんなさい。もう怖くないです可愛い女の子超絶癒しです。



「そろそろ日記を見ようか」

「双葉ちゃん、動ける?」

「え、うーん…無理かな…」

「しょうがないな〜…津川、岩村呼んでこい」

「うっす」



春日先輩が津川にそう言って数秒で主将が来た。

わぁい主将だーと喜んでいると桃井ちゃんから離されて主将におんぶされた。


おぉ、190cm台の目線とはこれか。190…って言えば宮地さんと緑間くんか。いつもこの高さとか。



「わーい主将の背中ひろーい」

「ブッ雨倉キャプテンの子供かよ!」

「親子…?」

「こんな娘は勘弁だな」

「ヒドイ」

「後輩ならいいぞ」

「主将だいすき!!!正邦入ってよかった!!!ねぇ津川もそう思わない!?」

「はいはい。思う思うー超思うー」

「棒読み!!!」

「…本当に正邦仲いいな…」



誠凛さんほど優しくはありませんけどねと心の中で言う。


どれだけ扱いが酷くてもこうして我慢して歩けと言わずに負ぶさるようにしてくれるのは優しいけど。



まぁ正邦でもバスケ部仲良いなーとは他の部活の人たちにも言われるがそれは私が積極的に甘えてるからだろう。

一人っ子だから兄のような存在が二人いてついつい甘えたくなる。ので、甘えてる。


それに対してみんな変な目を向けてきたり本気で嫌がったりしないからそこも優しい。

正邦バスケ部について語れと言われたらいくらでも語れるくらい扱いが酷くても私は正邦が好きなんだよね。


むふふーと笑うと津川に気持ち悪いと言われたが知ったこっちゃない。


正邦はもちろん、他にもいない人と合流して全員でここから出たいなぁと改めて思った。


そして主将にソファまで運んでもらって降ろしてもらう。全員がソファを見るように円になったところで



「それじゃあ、日記を開けようか」



そう言って赤司くんは日記についている鍵を開けた。
 
 

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