番外編

□突然すぎる
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どうもこんにちは!桃井さつきです。


私と双葉ちゃんと大ちゃんと花宮さんで探索に出かけていたら突然倒れて…

軽くパニックになっていると目を覚ましたんだけど、なんだか違和感。



「双葉ちゃん!大丈夫?いきなり倒れたんだよ?」

「…あれ?…もしかして、桐皇の桃井さん?」

「え」

「あ、青峰くんに霧崎第一の花宮さんも…どうしたんですか?」

「…おい雨倉。まさかとは思うが此処がどこだか分かるか?」

「えっ…え!?此処どこですか!?誘拐!?」

「ある意味誘拐かもしれないけど違うよ!?双葉ちゃんどうしちゃったの?」

「ゾンビみてーなの出て来ては武術でぶっ倒してたじゃねぇか!」



大ちゃんもいきなりのことに焦っているのか大きな声でそう言う。

花宮さんは何か考えているようで腕を組んでいる。


すると、大ちゃんの言葉に双葉ちゃんはこてん、と首を傾げて爆弾発言をした。



「…?あの、私…武術なんて習ってませんが……」

「「は、」」

「…おいお前ら。急いで戻るぞ」

「は、花宮さ……きゃぁああ!?」

「な、何ですかあれ!?」

「!?何おまえホラーも無理になったのかよ!?」

「チッ急ぐぞ!」

「あ、わっ」



それまで平然だった双葉ちゃんがゾンビを見て顔を青くし、怯える姿に大ちゃんが気味悪がった。

いつもならそんな反応やめてあげてよ!って言えるけどほんの少し同感…

だって、見かけたら即行動派の双葉ちゃんが私と同じ反応するようになったから混乱するもん!!


私は大ちゃんに。双葉ちゃんは花宮さんに腕を引かれて急いで大広間に戻った。



大広間に雪崩れ込むように戻ると正邦のみなさんだけでなく赤司くんもキョトンとしていた。

あぅ…テツ君もキョトンってしてる!きゃぁああ可愛い!写真撮りたいけど今はそんな事態じゃなかった…残念。


花宮さんが事情説明をすると当然、みんながギョッとした目で双葉ちゃんを見る。

いきなり大勢に見られたことにびっくりしたのか双葉ちゃんは花宮さんの後ろに隠れた。


…あ、押し返された。花宮さーん正邦のみなさん表情がマジですよー。本当に仲良いなぁ正邦…。



「なるほど…半記憶喪失で弱体化か…」

「赤司、もうちょいオブラートに包んでやれよ」

「何を言う。永吉からしても今の彼女はもやしそのものだろう」

(もしかして赤司くん戦力大幅ダウンにイラついてる…?)


「もしこのまま戻らなければ僕たちが彼女を守ることになるがそれ自体は別に構わない。

元々女性を危険に晒したくはなかったが戦力ダウンは大きい。何としても原因をハッキリさせて戻そう」


「あっなんかこれ元の雨倉聞いてなくて良かったな」



福井さんが言った言葉に赤司くんと双葉ちゃん以外軽く頷いていた。

私も元の双葉ちゃんが聞いてたらのたうち回った後に岩村さんにひっついてそうだと思った。照れ隠し可愛いよねー。


そんな様子をおどおどとした様子で見ていた双葉ちゃんが申し訳なさそうにしていたので大丈夫だよ、と言う。

元の双葉ちゃんのような頼もしさはないけれど守ってあげなきゃ、という使命感は湧いてくる。



「なんだか、申し訳ないです…」

「そんなに気落ちしなくても結構ですよ。赤司くんの言うとおりです。戻るまではボクたちが守りますから」

「あ、ありがとうございます…」

「わー、黒子っち男前ー…」



さっすがテツ君!!大ちゃんたちと比べると華奢な体格だけど中身は誰よりも男前だよね!

それに優しさが際立たないでさり気ない感じだし気遣いが素敵だし試合中とかギャップすごいしもう本当かっこいい!!


そう考えていると突然、津川君が双葉ちゃんに近づいて腕を引っ張って立たせてソファに…あ、巴投げ?をした。って!!?



「何してるの!?双葉ちゃんは今…」


「もーいいよ!!雨倉がか弱いとか本当ありえねーから!誰得でもねーし寧ろデメリットしかねーし!!

いじったりからかったりしたら技かけられないし楽しいかもしんないけど、オレの知ってる雨倉は反撃するのが当然なんだよ!

もし戻れなかったらとかふざけんなよ!そしたら此処から出れる確率は下がるし何よりか弱なのが気持ち悪ぃ!!!

オレはいっつもぶざけんなって技かけてきて馬鹿なことではしゃいで岩村主将と正邦が大好きな馬鹿なダチの雨倉しか知らねぇし嫌だ!!」


「はいはい落ち着けって〜の。お前の巴投げただでさえ下手なのに今の雨倉に受け身取れるわけねーって」

「やっぱり限界だったか…」



津川君が怒ったことにポカンとしていたけど少しずつ理解できた。


二人とも同じクラスで同じ部活で、同じく武術習ってて…嫌でも毎日一緒にいるもんね。

私だって大ちゃんが急に白くなったりたどたどしくなったら嫌だもん。津川君みたいに怒鳴っちゃうかも。


本当に仲が良くて、二人はただの友達じゃなくて親友なんだなぁと思った。


…その直後、大声をあげて息を整えていた津川君が急に消えた。…えぇえ!?何事!?



「…っにを…するんだこの茶坊主ぅぅ!!!」

「いってぇえええ!!!…っ何すんだよゴリラ女!」

「うわっ聞きました!?こんなこと言うんですけどー……って、あれ?どうしたのそんな驚いた顔して…」

「…っ戻った…?…双葉ちゃぁぁああんっ!!!!」

「え、戻ったって何が…ぐへぇ!!?」



きっと津川君の強い想いで戻ったんだ。

どうして急に半記憶喪失&弱体化をしたのかは分からないけど、なんか親友ってすごい。


戻ったことに感極まった私は双葉ちゃんに思い切り抱き着く。結構勢い良かったのに倒れないように耐えてくれた。

そして片手で背中をさすってもう片方で頭を撫でてくれる双葉ちゃんに安心した。


やっぱり双葉ちゃんには頼もしさが似合うよ!
 
 
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