夢想曲1

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春日先輩や主将、津川の言葉に胸が熱くなった。

もういっちょ、と言って春日先輩にもう一度デコピンをされる。


そんな、普段から言われないことを言われると感動して泣きそうになる。



「う゛っ…可愛い後輩なんていつも言わないくせにぃ〜!」

「言わないだけで思ってはいるっての〜」

「今ちょっと日記のせいで涙腺弱いんですけど!!!」

「えっ何!?雨倉泣くの!?なぁなぁ、泣くの!?」

「泣いてたまるか!なんでそんな嬉しそうなの!?」

「だって雨倉が泣くとか想像できねーし」

「だからって期待すんな!!」



津川にそう言いながらセーターの袖で目に薄く溜まった涙を拭く。

そうだ、今は泣いちゃダメだ。桃井ちゃんやリコさんだって怖いのに私だけ泣いたらダメだ。


泣くのは此処から出た時にみんなで泣こう。


そう決めて小さく息を吐いて日記の持ち主について話す。



「さっきも話したけど、私はこの日記の持ち主に覚えはない」

「第三者に消されたか、これは可能性が低いが人を間違えたか、だな」

「どのみち日記の持ち主が雨倉を主に狙ってくるだろうな。それでも探索に行くか?」

「…行く!私がその日記の“お姉ちゃん”なら必ずエンカウントすることになるし、此処のことも詳しく分かるかもしれないし」

「そやね〜…ヤンデレ幼女にも物理が効くならこっちが有利だしな〜」

「…分かった。だが無理はしないでくれ」

「もちろん」



赤司くんの言葉に頷くと桃井ちゃんに手を握り返されて無茶しないでねと二度目の釘を刺された。

そして再び休憩時間を挟まれる。多分予想外の日記内容に対応仕切れてない人のためだと思う。


ぶっちゃけ私が休憩挟んでもらえるか頼もうと思ってた。

いや、だってあれは予想外でしょうよ!!鬼ごっことかかくれんぼとか怖いのにしないでよもうできないじゃん!!


なんて思いながら正邦の所……ではなく緑間くんと宮地さんのところに行ってみる。

どうやら今回、探索チームを考えるのは赤司くんと花宮さんとリコさんの3人らしい。



「緑間くんと宮地さんのチームメイトってどんな人たちなんですか?」

「んだよ藪から棒に」

「なんとなく気になったので!ちなみに私は」

「言わなくても一目瞭然なのだよ」

「やだ、恥ずかしいっ」

「主張してんだろうが殴るぞ」

「返り討ちにしま、あれれー宮地さん笑顔黒ーいなんでだろうなぁ」

「なんでだろうなぁ?よぉぉおおく考えてみろ?」

「いだだだだだ!!!せっかくのイケメンが台無しですよ!!!」

「うるせぇ返り討ちにできるもんならしてみろ!!ミンチにすんぞ!!」

「今までで一番えぐい!!!」



なんてやり取りをしていると緑間くんがハァとため息を吐いて重い口を開いた。

なんだよ…なんでそんな不服そうに言うんだよ…スペック少ないんだよ…チームメイトじゃんよ…。


少ないスペックしか与えられずにいると途中で宮地さんが違うだろ、と言って参加。そこであることが判明。




「…うるさいのが一人と主将、坊主の先輩がいるのだよ」

「もっと詳しく」

「違ぇだろ。まず主将は大坪つってマミリン押しだ」

「私マナちゃん押しです!」

「中々いい所行くじゃねぇか。だがオレはみゆみゆ押しだ」

「なん…だと…!?」



宮地さんまさかのドルオタ!!!!すっげぇ残念要素発見した!!!二言目には暴言だしドルオタ!!

まぁそれでも伊月さんみたいにダジャレでスベらないし森山さんみたいに運命論者じゃないしまだ話は合うけど。


周りの女子はどっちかというとキセリョかジャニーズ好きばっかだから話が合って嬉しい!!

盛り上がりかけたが今はチームメイトのスペックだ。はよ!



「っとヤベェつい盛り上がった……えーと、坊主の方は実家が八百屋でオレの武器調達人」

「あれなんだか物騒…ちなみに武器というのは?」

「パイナップルとか」

「ブフォッッ!!!!パイナップル!?殴るんですか!?」

「おいやめろ雨倉。高尾を思い出すのだよ」

「すっごく嫌そうだね!?なんで?!友達じゃないの?」

「下僕なのだよ」

「バカだな。笑い袋だしうるせーしやかましいし今が静かでいいぜ」

「ちょっと待って急に涙が…」



高尾くんが可哀想!!!どうしてこの二人フルボッコなの!?


緑間くんに至っては真顔で下僕って言いやがった…あんまりだろうよ……怒っていいのよ高尾くん…。

もっと話を聞いたら主将は大坪さんと言って編み物が得意らしい。女子力ェ……。

八百屋の息子の方は木村さん。なんだか大坪さんと揃って大変そうだ…胃大丈夫かな。


しかしその中でも高尾くんへの言葉の暴力は止まない。

少しはデレてあげようよぉぉぉおおお可哀想だよぉぉおおこの状況なのにウザイ呼ばわりってどういうことだよぉぉぉぉ!!!


高尾くんに会ったら優しくしようと心に決めたところでいつの間にか近くにいた黒子くんから一言。



「ボクは彼に一方的にライバル視されていますが………まぁうるさい人ですね。後召集かけられてますよ」

「急に辛辣!!!どうしたの黒子くんストレス…?」

「おい雨倉早くしろよ殴るぞ」

「パイナップルで?」

「やっぱ轢く」

「申し訳御座いませんでした」



そんな会話を交わしながら私はソファへ戻って桃井ちゃんの隣に座る。

全員が座ったことを確認した花宮さんが今回の探索メンバーを発表する。



「まず雨倉のチームに根武谷、火神、黄瀬、福井サン、オレ。

津川のチームに赤司、青峰、宮地サン。

春日サンのチームに早川、若松、桃井、緑間、日向、福田。残りは待機だ」


「もうお前らオレと双葉ちゃんが一緒にならないように仕組んでんだろ!!?」

「話し合った結果っスよ森山先輩」

「黄瀬変われ!!!」



待機組にリコさんがいるけどいいのかな、と思いつつ珍しいメンバーの所へ行く。

あまりにもメンバーの身長がデカすぎたので尋ねて平均身長を割り出して四捨五入すると179cm


花宮さんの身長やないか…と思わず関西弁になってしまう。なんか、急に虚しくなってきた。
 
 

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