番外編

□もはや呪い
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初めまして降旗光樹です。

先ほど探索に出たばかりの伊月先輩たちが雨倉を抱えて戻ってきました。


出て10秒しか経ってないのに!?と全員が思ったけど伊月先輩が抱えている雨倉はどう見ても…



「うぅー…ここ、どこぉ?まま?ぱぱ?」

「……ちょっと…もしかして全体的に幼児化したってこと!?」

「何があったんですか?」

「あ、あぁ…実は……」



伊月先輩にどういうことかと聞くと説明をしてくれた。


探索に出てすぐのところで雨倉が何かを感知してフクを押しのけたら上から何かが落ちてきて音を立てて煙が立って、

大広間にはそんな音が聞こえなかったけど、煙が晴れた頃には推定4歳の雨倉が居たらしい。


……こんな状況で言うのもアレだけど小さい頃の雨倉は髪が長くてワンピースを着ているので女の子らしいな。

いや、普段がどんなのかも知らないけど少なくとも正邦の主将大好きな武術系女子だから女の子らしさが……ウン。


事情を聞いた後にもう一度雨倉のほうを見て愕然とした。


正邦の3人とカントクと桃井さんが無言で携帯片手に雨倉を連写していたのだ。

歪みねぇ。と思っていると徐々に雨倉の目には涙がたまっていってるのが見え、とうとう泣き出してしまった。

そりゃあ見知らぬ場所で知らない人たちに無言で連写されれば泣くよね!!!



「ぅ…ふ、ふぇえええええぇぇっ!!パパーッママぁーっ!!!」

「ちょ、正邦さんストップ!!!雨倉さん泣いちゃったじゃないスか!!」

「おいさつきやめろ!!!泣いてんじゃねぇか!」

「カントク!!」

「「「泣き顔も可愛い!!!」」」

「この親バカどもが!!!」

「…ふむ、僕にまかせてくれないか」

「え?あ、あぁ…」



どうやってこの5人を止めるか考えていると、今まで黙って見ていた赤司が雨倉を抱えた。

突然の行動にガン見してしまったが周りの視線を気にしていない赤司は雨倉をあやす様に頭を撫でた。


すると、みるみるうちに雨倉が泣き止んで不安の残る表情で赤司を見つめた。


周りから泣き止んだことに対しておぉっと感嘆の声が上がるほど泣き止ませるのが早かったのだ。



「グスッ……にーにだれ?」

「赤司征十郎だよ。君の名前は言えるかい?」

「双葉!…じゃあ、にーにはせいにぃだね!」

「あぁ。双葉は今何歳かな?」

「4しゃいっ!」

「…っかわいい……!!!もう…っ双葉ちゃん可愛い…!!!」

「天使は生まれた時から天使なんだな…」

「ロリコン」

「ちげぇよ!!!」

「知ってるか…あれが後に岩村馬鹿になるんだぜ……」

「どこで道間違ったんだろうな…」

「体育館覗いたからじゃないですか?」



ナチュラルに名前を呼ぶのは雨倉が名前しか言わなかったからだろうと納得できた。

けど正邦組ちょっと待てなに言ってんの?遊んでるの?そのくせ連写止めないとかどんな根性だよ!!!

桃井さんやカントクに至っては床にしゃがみこんで悶えてるしさり気無く黒子参加してるし!!!


心の中で突っ込みを入れながら雨倉と赤司の様子を見ているとふにゃあと笑った。




「せいにぃ、せいにぃ」

「なに?」

「双葉ね、せいにぃすきー」

「それは光栄だね」

「えへへーっ」



(ピロリーンピロリーン)

…ってウワァァァアアアア!!!手が勝手に!!!!!!!何コレ何の呪い!!!?けどさっきのは可愛いと思ったよ悪い!?
※混乱のあまり逆ギレ

そして周りはマナーモードではあるけど完全に阿鼻叫喚だ。ただし携帯片手に。


少ししてから雨倉が静かになったのでカントクを落ち着かせていた手を止めてそっちを見た。

いつの間にか赤司が雨倉を抱えながらソファに座っていた。黒子が様子を見に行ったところ写真を撮ってから戻ってきた。



「なにしてんの黒子」

「気にしないでください。どうやら眠ってしまったみたいです」

「あぁ…色々と納得し(ボフンッ!!)え!?何!?」



恐らく雨倉の寝顔を撮ったであろうことを察していると突然音がして全員が反応してそっちを見る。

突然って出来事が多すぎる!!なんて思いながら雨倉たちがいる方向を見ていると次第に煙が晴れてきて…


赤司に抱えられながら状況が飲み込めておらずポカンとしている元の雨倉がそこに居た。


そしてすぐに「あっこれだめだ」と察した。多分そう思ったのはオレだけじゃないはず。

予想通り福井さんや宮地さんが何かを察した表情をしていた。



「…?」

「…やぁ、お目覚めかな?」

「っ!!?…!?ご、めんなさいワケ分かんないけどごめんなさあああああああああいっ」

「あっ待て雨倉―――ッッ!!!!」

「待って双葉ちゃん!!外には化け物が…」


「どいてぇぇええええ!!!!」

「「ウ゛ァァア゛アア゛アァァァ!!!」」


「……心配ないみたいだね…」

「…ですね」



赤司が話しかけたところで(絵本の王子様を思い出した)雨倉はハッとして顔が赤くなり、大広間から出て行ってしまった。

雨倉を4歳にした化け物もいるかと思い心配したが聞こえてくるのは化け物たちの断末魔。


心配はいらないようで黒子と顔を合わせて苦笑いをする。


その後戻ってきた雨倉はみんなが撮った4歳の雨倉の写真を見せられて撃沈。
 
 
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