番外編
□なんやかんやで
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【Q.黒子たちがストバスに行ったとき雨倉はどうしていたのか】
正邦の主将、岩村率いる3年はIHで誠凛に負けて自動的に引退した。
そんな時、津川が受験勉強の息抜きと称して先輩たちをストバスへ誘った。
受験勉強の合間とはいえバスケをすることに喜んでいるのはなにも先輩たちだけではない。
「んぎょおおおおお!!!なにそれ津川なーいすっ!!!」
「だっろー!!?もっと褒めていいぜ!なんなら今度手羽先作ってきてよ!!」
「おっけーまかせろ!!初めて心の底から津川の存在がありがたいと思った!!」
「今までは!!?」
「ただDFするしか能がない奴じゃなかったんだね!!」
「およ?津川なぁ〜に雨倉にいじられとんの〜」
「「春日先輩!」」
「あ、そぉだ。雨倉もうストバスのこと聞いた?」
「はい」
「んでさ〜弁当作って来てくんない〜?岩村もどうせ来るだろうし作らせとけってよ〜」
「!!?主将が!?分かりました任せてくださいとびっきりのお弁当作ります!!!!」
「うわ、超輝いてる」
「態度があからさますぎて扱いやすいけど腹立つな〜」
「いつでも元気っすからねー」
ほぎょあぁああああ!!!!主将が!!!主将が私のお弁当を所望してる!!!!
お弁当もそうだけど、主将だけでなく春日先輩たちのプレーも納めるためにビデオカメラも用意しなければ…!!!
そう、お弁当の下準備もしてカメラのレンズを磨いてすっっっごく楽しみにしていた。のに…
『はぁぁあ!!?39度!?』
「うぇぇええぇぇえんっ!!!!主将ごめんなさぁぁああいっ!!!」
『オレ津川!!』
「でもっでもせめてお弁当はと思って…グスッ……」
『お〜い雨倉〜。さっきお前の母さんが弁当持ってきてくれたから安心しろ〜い』
「うっうっ……私も、ゲホッ行き…っゲホッゴホッ…行きたいぃぃいいい!!!ゲホッ」
『いや大人しく寝てろって〜咳出てんじゃ〜ん』
すごく、すごく行きたかった。なのに風邪を引くなんて神様のばかぁああああああ
熱も咳も出ながら泣きじゃくる私に電話をはさんで向こうにいるみんながため息をついたのがわかった。
だってだって仕方ないじゃん!!!!風邪ひいちゃったもん!!!本当は行こうかと思ったけどお母さんが!!!
うえええええんと言い訳をしながら行きたいぃいいいと言う私に呆れた様子の春日先輩が寝ろと促す。
『だから寝て熱下げろって〜』
「だっだって寝たら電話切るでしょ!?」
『バスケしに来てるからな〜』
『じゃなきゃここにいねぇしな』
「わ、わた、私も直接いきたがっうぅっグスッゲホッゲホッ」
『……雨倉、いいからまずは落ち着け』
「じゅじょぉぉおおおおおおおお!!!!!」
『ワリ、逆効果ならオレが話すわ〜』
「…」
『お前の岩村に対する姿勢本当なんなの?』
『ちょっと気持ち悪ィ』
「津川学校で会ったら覚えとけ」
『やべっ死亡フラグ』
草を生やす津川を他所にベッドの上で正座して主将の言葉を待つ。
早くも意味を成さない冷えピタを張り替えていると主将がため息をつきながら話しかけてきてくれた。
『いいか雨倉。選手を支えるマネージャーが風邪を引いたまま部活に来たらどうなる?』
「ぐすっ……風邪を移す…」
『そうだ。そうならないために雨倉がすることはなんだ?』
「…風邪を治す……」
『岩村主将、先生みたいっすね!』
『いや寧ろ父親じゃね〜の〜?』
『ここはあえての母親だろ』
『天才か大室』
『お前ら黙れ。』
主将にきちんと寝て直せと言われたのでもう電話切られるのかとしゅんとしたが、言いたいことがあるんだった。
そのことを主将に言うと再び何だ?と切るのをやめてくれたので話す。
「あ、あのっあと一つ!!」
『?何だ』
「優勝してほしいとは言いません、…あ、いや、優勝しなくていいってわけじゃないんですけど」
『あぁ』
「…その、先輩たちが満足なプレーをして、楽しんでほしいって…いうですね…はい」
『…ここにいる全員分かっている。ありがとうな、雨倉』
『オレからも!おかずに手羽先入れてくれてサンキューな!!美味そう!!』
『なんかほしいもんあるか〜?』
「みんなの試合収めたビデオ」
『ブレねぇな本当。仕方ねぇな……まぁ5人全員出るから無理だけどな』
『上げて落とすとか中々にえげつないね〜坂本〜』
電話口からわいわいと話しかけてきてくれるみんなにまた涙が出て、袖で拭った。
受験終わったらまたバスケするからその時リベンジでビデオ撮れよ、と言ってくれたのではい!と返事した。
『お前泣くときは泣くよな〜』
『風邪で弱っているんだろう』
「やっぱり行きたかったぁぁあああっ!!ゲホッゴホッ」
『しつけぇ!!!』
『あーあ。雨倉ーちょっと鏡見てこいよ。今ぜってーブスだから』
「やかましいっ!!!」
『はいはい。いいから寝ろよ〜?おやすみぃ〜』
そう言って春日先輩に電話を切られて躊躇うこととかしないのか…と違う意味で涙が出てきそうだった。
ストバスが終わってからなのか、夕方あたりにみんながサプライズでお見舞いに来てくれて再び泣いたけど。
今日は泣いてばっかりだったけど、今度バスケするときは一眼レフ持って行って先輩たちの姿を納めると誓った。
【A.風邪を引いていて行けませんでした】