夢想曲1

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次は絶対にかっこいい技決めよう。

かっこよくてわかりやすいやつ…と考えながらも黄色いドアの部屋を見渡した。


この部屋は誰かの部屋みたいになっていて落ち着いた色合いだった。


中々好みなんだよなーとタンスを開けたり。

部屋の広さも全員が普通に入れる広さだけど降旗くんが居た子供部屋と同じくらいだ。



「ん、これは…?」

「ただの書物、だな…」

「特に何も書いてませんし関係なさそうですねー」

「ベッドの下にも何もねぇな」

「ちょ、何持ち上げてんスか!?」

「伊達に鍛えた筋肉じゃねぇな…」

「雨倉さん。さっきの技なんスけど…投げる感じってこれでいいんスか?」

「んー…もうちょい、こう……そうそう!そんな感じ!」



先程いたニュー貞子を倒したときの技について黄瀬くんが話しかけてきたので教える。

そして技をコピーできたと喜ぶ黄瀬くんを横目に他のみんなに混じって探索をする。


すると、福井さんが開けたタンスの中からゾンビが出てきたのが見えた。



「っうわ!!?」

「「福井さん!!!」」

「触んな!!!」

「うお!?あ…っぶねぇな!!」

「い、今のなんスか!?」

「え?回し蹴りからの大外刈だけど…」

「お前な…助けんのはいいけど目の前に足が来たら怖ぇわ!!!つま先が掠るとこだったぞ!」

「すみませーん」

「軽っ!?」



失礼だなーちゃんと謝ったのにー。

とぶーたれながら黄瀬くんに技の指導をする。この調子だと他にも化物はいるみたいだし…。


だって現に隣のタンスがバッタンバッタン横に揺れてるんだもん。


これって中にいるはいいけど隣の奴きっと出遅れたんだろうなぁ…と生暖かい目を向ける。

笑いそうだけど火神くんが超怖がってる。いい機会だし黄瀬くんに倒してもらおうかな…うん。


実際にやってみたほうがいいししくじったとしても私が傍についてればなんとかなるだろうし。


一人で自己完結して花宮さんに提案する。



「ふぅん…いいんじゃねぇの。間抜けな奴らしいしな」

「じゃあ黄瀬くん!さっき私がやった大外刈のコピーできてるならそこのタンスの奴倒してみよっか」

「了解っス!」

「動きの確認しようか。まずこうやってこう動いて…んー…エアだとやりにくい…」

「誰か実体験してみるか?」



根武谷さんがそう言ったらみんなが首を横に振った。

…じゃあ仕方ないか……と少し、すこぉぉおおし残念に思ったのは秘密。


えー別に誰かに技をかけたかったワケじゃないよー?ソンナンジャナイヨハハハー。



「で、技のコピーができたのはいいんだけど…」

「ん?何かあるんスか?」


「武術はね、ただ技をかけるだけでなくある意味心理戦も兼ねてるの。

こっちが明らか不利な状況で技をかけにいくことなんてしないし形勢逆転に持ち込めることだってあるしね。

それに、技はその状況に応じて使い分けるの。相手が寝転んでるのに背負投なんてしないでしょ?」


「確かに…」

「じゃ、それを踏まえたうえでやってみよう!レッツゴー!!」

「お、おーっ!!」



タンスの前に黄瀬くんが立つ。タンスの傍には私。そして後ろには花宮さん、根武谷さん、福井さん、火神くん。


黄瀬くんとアイコンタクトしてガタガタと揺れるタンスを開けて中の化物を放出!!

黄瀬くんに向かう化物に黄瀬くんは私のコピーをした大外刈を化物に決めたぁぁあああっ!!


化物は一撃で煙になって消えたので黄瀬くんがガッツポーズをした。



「どう!?どうだったっスか!?」

「この調子で技コピーしてって!」

「えっ?」

「え?じゃねぇよバァカ。戦力増やすって探索前に言ってただろうが」

「そうそう!もっと沢山の技あるから私だけじゃなくて主将とか春日先輩とかの技もコピーしてよ!」

「決めれてスカっとしたし、そうしたいっス!」

「き、黄瀬化物怖くねぇのかよ…」


「最初は怖かったけど技かけた後は本当スッキリしたし…

それに、即座にどの技使うか判断できる雨っちがすごいって思ったっス」


「……雨っち?とは?」



黄瀬くんの突然のあだ名呼びに目を瞬かせると火神くんが教えてくれた。

どうやら尊敬した人につけるあだ名らしくて少し照れる。尊敬されるの慣れないなー…


まぁ私は主将を全力で尊敬するけどね!!!敬って差し入れ作って一番にタオルやドリンク出して甘えて…

正邦のみんなに呆れられるほど懐いてるけど、尊敬してると言われたのは初めてだった。



「帰ったら主将に甘えようっと」

「あ?話変わってねぇか?」

「で!雨っちさっきの技のキレどうだったっスか!?」

「もうちょい足を上に上げれば急所に入るからそこは気をつけて!」

「了解!」

「おい、雨倉。ネジ貸せ」

「ぬ?」

「このタンスの横に嵌めれるみたいだからな…早くしろ」

「ネジ嵌めてどうするんだろう…?」



首を傾げながらもタンスの横にしゃがみこんでいる花宮さんにネジを渡した。


どうやらドライバーで嵌めなくてもいいようで指で回していく。

すると、カチっと音が鳴ってネジを嵌めた部分が開いた。中には紙切れが一枚。


後ろに他のみんなが集まっている中で花宮さんが紙を開いた。



「…な、なんだコレ?」

「ぜ、ぜろ…ぜろ…ビーエス…だぁぁあっ!!なんだこれ!?

「め、目がおかしくなってくるっス…」

「何なんだこれ?」

「裏になんか書いてません?」

「……、『VOT`U』?」

「ヒントだとしてもまずヒントが分かんねぇよ!!」

「一先ず暗号は置いときましょ!帰ってからまた頭脳組で解いたらいいじゃないですか。ね?」



私がそう言うとそうだな、と言って暗号を書いた紙をポケットにしまっていた。

あ、ちなみに暗号は『0zz0bs0@m0z000z0z^70k0z0zwy0dz@90z4z40ozz0』でした。ワケわからん。


でもじっくり考えればというか赤司くんなら一目で解けてしまいそうな気がする。

そう思ってるのは私だけでないようで黄瀬くんや根武谷さんが「「赤司/っちなら…」」と言っていた。
 
 

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