夢想曲1
□37
1ページ/1ページ
黄瀬くんが私の動きをコピーして、初!化物撃退に成功した。
バスケでもコピーをモノにしているだけあってキレが良かった。
もしかしたら本格的に武術を教え込んだら春日先輩を倒せるかも…?
それはそれで嬉しいけど、私の先輩だし私が倒したいっていう思いがあるし…うーん…。
まぁ、何にしても今は此処から出ることを考えていかなきゃ、と思い考えることをやめた。
それに、暗号のこともあるしねー。あ、暗号の紙はこんなの。
改行とか特に意味はなさそうだし、大文字小文字は意味あるのかな…?
「この暗号って並び替えとかするのかな?」
「ヒントっぽいのも既に暗号だしな…考えんのは苦手だ」
「後回しでいいんじゃね?」
「オレもこういうのは無理だ。…です」
「ふはっ何だよ誰も分かってねぇのかよ」
「え、花宮さんもうわかったんですか!?」
「簡単だろこんなの」
寧ろ、何が難しいのか聞きたいぐらいだと笑う花宮さんにじゃあ教えろよ。とイラァ…っとした。
花宮さんは別の部屋を調べてから大広間に戻って全員に暗号のことを伝えてからでいいだろ、と言った。
いいよ…大広間に戻ったら赤司くんに教えてもらうから……花宮さんのケチんぼ!!
そう思いながら頬を膨らましてふんっと怒ったようにしていると黄瀬くんに突かれて空気が出た。やめれ!
のんびりとしながら黄色いドアの部屋から出て他に部屋がないかと歩いていると奥の方から色んな声が聞こえた。
最初に聞こえた3人くらいの悲鳴はまだいいよ?でもね……
「足速ぇぇええええ!!?」
「オイ、どうすんだよ!?撒けねぇじゃねぇか!!!」
「この奥に黄色いドアがあったはずだ!!」
「ギャハハハハハハッ!!!爺さん足メチャクチャ速ぇぇええ!!!」
「人っスか!?」
「化物に追われてるみてぇだな」
「はっ!か、火神ぃぃいいいい!!!」
「カワぁぁあああ!!!!」
「え、いや、感動の再会(?)はいいから何で一人だけ笑ってんの!?」
「そういう奴なんだよ」
「えぇぇー……」
誠凛マジ家族。何この大きいデパートではぐれた幼い兄弟が再会したみたいなシチュエーション。
それはそれとして、笑ってるのが1人と必死に逃げてるのが3人か…笑ってる奴シュールだな。
さっきの叫び声からしてどうやら爺さんの風貌をした化物に追いかけられてるんだろうな。
あっ間違えた。正しくは爺さん(瞬足)の化物か。足腰痛めて大変なことになるぜ爺さん。悪いことは言わない走るのはやめな。
笑ってる1人の影響でボケっとしてたけど化物に追われてるなら助けなければ。やっと思考が追いついてきた。
「どいてっ!」
「え!?」
「ちょ、君!?」
「カワ、こっちだ!」
「え、で、でもあの子…」
「大丈夫だ。よく見てろ」
「…ふっ!てやぁぁああ!!!!」
「「「!!?」」」
「うお!?」
こちらに走ってくる4人とは逆に4人を追いかける化物に向かって走る。
化物は爺さん1人(あれ、この場合は化物だし一体のほうが表現合ってるのかな…?まぁいいか!)
勢いを殺さないように床に手をつき、逆立ちするように体を浮かせながら捻り、爺さんの頭を足で挟んで…
そのまま爺さんの頭を床に叩きつけた。バァアアンッ!!といい音を立てたかと思うと爺さんはあっけなく消えた。
ふぅ…と謎の達成感に浸っていると先程笑いながら走っていた子が私に向かって言った。
「キャーッ!!カッコイイーッ!!!」
「ちょ…っ裏声!!やめて!」
「イッケメェェエエエン!!!!」
「どっから出してんスかその声!!」
「腹!」
「そうか!」
「おい、バカなやり取りしてねぇで一旦さっきの部屋に戻るぞ」
「えぇー花宮さん冷たいー」
「そいつらの事情を先に聞く。いつまでもこの階に留まってられねぇんだよ察しろバァカ」
「平気っスか?先輩」
「あぁ、ありがとな黄瀬」
あらま。恒例になりつつあるやり取りが行われてる…。
なんて思いながらも先頭を歩いて黄色いドアの部屋に向かった。
その間も笑ってる人こと高尾ちゃんとキャッキャと話す。やばいよ高尾ちゃんノリ良すぎ。すごく気が合う!!!