番外編
□ホワイトデー
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2月14日はバレンタインでしたが今日は3月14日。そう、ホワイトデーです。
今日はバスケ部スタメンの皆と焼肉に行くけどまさかそれがお返しじゃないよね?違うよね??
待ち合わせ場所でチャットアプリを開いて私が一番に着いたことを知った。
津川はともかく春日先輩がいないって何か新鮮だなー…寝坊とか?
携帯をいじって待っていると、ふと二つの影があることに気づき顔を上げると知らない男二人組が。
「ねぇ君一人?」
「俺らも暇だからさー一緒に遊ばない?」
「あー…すみません、部活の人と待ち合わせしてるんで」
「部活の人って女の子?その子らも一緒に遊ぼうよ」
「こっちも人数合わせるしさー」
「おーおー何いっちょまえにナンパされてんのお前」
「なーんで部活の人=女ってなるのかが分かんねぇな」
「悪いが退いてくれないか。ソイツと待ち合わせをしてるんだ」
ナンパされながら主将まだかなーと周りを見渡していると春日先輩、坂本先輩、主将の順に声が聞こえた。
後ろから聞こえてパッと振り返ると皆がいたので駆け寄った。
主将私服かっこいいですねっ!!と調子に乗って抱きつこうとしたら頭を掴まれて阻止された。
確かに顔面よりマシだけどさっきまでナンパされて助けてくれて…あれ?
まぁいつもの扱いですよねー…とショボンとしながら主将の隣を確保して焼肉屋に向かった。
「一ついいですか?」
「あ?肉はやんねーぞ」
「そこはください。じゃなくて!!皆まさか今日がホワイトデーだって忘れてません!?」
「雨倉じゃないんだから忘れてるわけないだろ」
「まぁそう言ってやんな津川」
「とかいいつつ大室は肉を食う手を止めねーな」
「坂本もだろ。覚えているが全員で、ということでこうして焼肉を食べに来てるんだろ」
「そゆこと〜」
「ガッデム!!やっぱりそうだったか!!」
うがああ!!と頭を抱えてリアクションする私を余所に皆はお肉を取っていく。
これ絶対自分たちが焼肉食べたいからだよね。ホワイトデーだからとか言ってるけどその割にお肉取れないし!!!
こうなったらヤケだ。と私もお肉争奪戦に参戦して一番美味しいやつ食べれた。
今日のハイライトは坂本先輩と大室先輩の悔しがる顔だね。くそっ悲しいわ。
お店を出てからレジでもらったガムを皆で仲良く食べていると家まで送ると声を揃えて言われてビビった。
「??練習でもしてたんですか…?」
「いらないなら別に」
「ああぁぁああ!!!いります!!いりますお願いします!!!」
「最初からそう言えよな」
「あっ私が悪いパターンですかコレ?」
「遊んでないで早く行くぞ。寒い」
「主将は歯に衣を着せないんですね…まぁそんなところも好きなんですけど」
「はいはい」
帰り道も皆にいじられながら騒がしくも楽しくはしゃいでいた。
焼肉は皆の自己満足だったけど、それでも誘ってくれてホワイトデーだって覚えてくれてたことが嬉しいからいいか。
そう思いながら家の前で別れて家の中に入るとお母さんがニヤニヤして迎えてくれた。
何ニヤニヤしてるんだろ…と思っていると部屋行きなさいよと言われたので言われるがまま部屋に向かう。
すると、机の上には可愛いく包装された5つの大小様々な大きさの袋があった。
バッと前のめりに袋を見ると近くに一通の便箋が。差出人は正邦バスケ部。
「え゛ぇぇえ゛え゛え゛!!?何ごれぇえ゛え゛え゛!!!」
「うるさいわよ双葉」
「お母さん!!!なにこれ!!?何で!!?」
「何ってアンタが出かけてから皆が来て置いてくださいって言ってきたのよ」
「…ッッ」
「え…え、何どうしたの?そんなに嬉しかったの?」
お母さんから話を聞いて、待ち合わせの時のことを思い出した。
いつもは最初にいるはずの春日先輩がいなかったこと、遅刻寸前に来る津川が皆と一緒に来たこと。
春日先輩が今日はイタズラを控えてお肉も普通に取れたこと、皆が家まで送ってくれたこと。
ぶわあああっと暖かくなってボロボロ出る涙を止めることもせずに便箋の封を開けて手紙を取り出す。
手紙にはいつか皆で撮った写真と、Happyホワイトデーとだけ書かれた紙。
「…ッう…好きぃぃいいぃぃい!!!!」
「うるさい!!近所迷惑!!」
「皆好きだぁぁぁああああ!!!!」
今日以上に楽しくて嬉しくて幸せなホワイトデーはきっとない。
***
正邦の皆は普段から素っ気なくあしらっているから素直になれなさそうだなーと。
そんな正邦のホワイトデーは夢主にとって神様ありがとう!!!ととても幸せな日になるだろうなぁ。
皆のプレゼントの中身は
岩村→ラスクとクッキー
春日→可愛いストール
坂本→うさぎとクマが腕を組んでる手乗りサイズのぬいぐるみ
大室→チョコ詰め合わせ
津川→ビックリ箱…の中にフィナンシェ
可愛すぎか!!!と悶える夢主は母親に嬉しいからってうるさいと叱られます。きっと。