夢想曲1

□41
1ページ/1ページ


私たちの報告を終えてから赤司くんは優雅に足を組んで考え事をしていた。

様になっているのを見てイケメンって怖い、と思った。


でも、ぶっちゃけ主将の怪我の方が最優先だ。何ですかあの怪我!!!

もう!!主将もう!!!何かあったなら大声あげてくれたらよかったのに!!駆けつけるのに!!


主将の怪我の話を最後に回すあたり、私のことを理解されてる気がする。頭脳組すごい。

まぁ私自身ちゃんと理解してるけどさ。話聞いたらすぐに犯人を倒しに行くだろうから。


ぬぬぬ…と何とも言えない表情をしていると赤司くんが口を開いたので耳を傾けた。



「僕たちは予定通りに書庫へ向かって4人で手分けして何か怪しい本がないかと一通り探した。

が、特に目星いものはなかったね。その後、伊月さんが見つけた窓を見てみたんだが…

窓のあった部分が微かに開いていて中は小さな空洞になっていたよ。窓ではなかったようだね。

それに、ボタンも見当たらなかったことから伊月さんと森山さんが入れ替わった事で仕掛けが起こったようだ。

ちなみに、その空洞にこの紙が入っていたよ。コレも後で開けよう」


「伊月くんと森山さんが入れ替わって仕掛けが起こった…って…」

「もしかしたら、他にも同じようなトラップがあるのかもしれませんね」

「ああ。だから皆気をつけて探索に取り掛かって欲しい」

「まぁ意味もなく入れ替わるだけってのも嫌だしな」

「でも、もし化物に遭遇して書庫に逃げ込んだとしたらボタン押せば逃げれるんじゃないですか?」

「そこにも化物がいりゃ結局同じだろうがバァカ」



バカバカ言うなバカ麻呂。そう心の中で言ったはずなのにギロっと睨まれた。

ど、読心術…!?何この人怖い!!とブルっと震え上がる。


話が脱線しつつあったのを見て赤司くんが話を戻した。



「紙を見つけたところで書庫に用はなくなったから出ようとした時に敦たちと合流した。

話を聞いたところによると此処に来て少ししか経っていないようだった。

人数のことも考えてすぐに大広間に戻ってきたよ」


「化物とは遭遇しなかったの?」

「いや、行く途中で3体ほどね。全て津川が薙ぎ倒したが」

「回し蹴り一発で3体巻き込めたとか凄くねオレ」

「此処に来て技極めつつあるよね私たち」

「自覚してたのか…」

「聞こえてますよ若松さん」


「…オレと木吉と劉は近くの部屋で目が覚めた。状況整理している所に紫原と古橋が入ってきた。

2人を含めてある程度まとまったところで書庫があると知って向かうと赤司たちと合流した」




そう話す笠松さんにただならぬ男前オーラを感じる。


なんだろう、この人…男前オーラ隠しきれてない。いや隠してすらないけど。すげぇぇえ…。


っていうか何気に男前な人多くない?見た目だけでなく中身まで男前とか罪深い。

ふっでもそれも主将には及ばないけどね!!!はぁぁああん主将ぎゃっぎょいいぃぃい…っ!!


思考がズレつつあった時に続いて春日先輩が話し始めた。



「とりあえず人探しだから近くの部屋片っ端から開けてったんだけど〜」

「「何してんすかアンタ」」

「だってその方が見逃しにくいっしょ?効率悪いけど実際見つかったしいいじゃん」

「それで桃井ちゃんに危害があったらどうするつもりだったんですか!!」

「オレが倒すし〜。んね〜?」

「へ?あ、はい」

「おい春日。双子は放っておいて話続けろ」



ちょ、宮地さんんんん!!?双子って何!!?

と驚いていると春日先輩は頷いてゆるーく話し始めた。気ィ抜ける。



「んで応接室開けたら小金井と〜中村と〜ゴリ、岡村が円になって考え事してたから回収したんよ」

「今ゴリラって言おうとした!!?ねぇ!!?」

「事実だろゴリラ」

「うるさいアル。ゴリラ」

「ちょっとゴリちんうるさい〜」

「回収って言い方酷いですね…」

「複雑…」

「どんまい!なかむ(あ)!!」



春日先輩たちは何か収穫があったのか疑問に思って聞いてみた。

しかし何もなかったとのこと。全員今回の探索で何かを見つけてるわけではなさそうだ。そりゃそうか。


全員の報告が終わった、ということは待ちに待った気になって止まない主将の怪我について!!!


ぐりんっと主将の方を見ると胡座を掻いて、腕を組んで話を聞いていた主将がため息をついた。

ため息をつくのも様になってますよかっこいいです主将最高ですうきゃぁぁあああ!!!



「…オレの怪我について、か」

「はい!!」


「お前らが探索に出て少し時間が経ってから、廊下から物音がしたんだ

ドアの外は化物を寄せ付けない部分があるらしいからそれを活用して俺だけ外に出たんだ。

その瞬間、『早く消えてよ邪魔なんだよアンタがお姉ちゃんを縛ってんのよ返してよ…』という声が聞こえた」


「返すも何も、雨倉はオレらの後輩だつってんのにヤンデレ幼女もしつこいな…」


「その言葉に対して、岩村さんは『雨倉はオレたちの大切な後輩で仲間だ。お前にはやらん』って言ったの。

直後、どこからかナイフが飛んできてとっさに避けてドアを閉めたんだけどね。怪我はそのナイフで…」


「…っしゅじょぉぉおおおおお!!!!一生ついていぎまずうぅぅぅうううう!!!」

「それは勘弁してくれ」

「やん冷たい!!かっこいい!!そこに痺れる憧れるぅぅうう!!!」



ぶわっと涙が溢れるがそれより感動が勝った。

ハートを撒き散らしてソファから主将にだいしゅきホールドをする。


普段冷たいこと言ってるのにこういう時本当に本当に本当にかっこいいから好き!!!


普段冷たいところもかっこいいんだけどね!!主将万歳!!!

抱きついた後もハートを撒き散らしていると森山さんが何か呪文を唱えて笠松さんに殴られていた。


岡村さんも「アイツもワシとそんな変わらんのに何が違うんじゃぁぁあ!」と言ったので「器!」と言うと沈んだ。

それに対して陽泉の人たち大爆笑。ごめんなさい、主将と全然違います。主将ラブなんで特に。


どこまでかっこよければ気が済むんですか主将!!もう!!好き!!!

例え嫌がられたとしても一生ついて行きますよ主将ぉぉおおおおお!!!
 
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ