夢想曲1

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招集をかけられて主将にしがみついたまま運ばれる。

うへへ、なんやかんや言ってここまで運んでくれるんだからみんなツンデレだね。

てか私、もしかしたらすごく愛されて…



「はぁ、重かった」

「お疲れ〜い」

「ちょっとぉぉぉ!!乙女に向かってソレはないですよ!?」

「「「…?」」」

「こいつの何処が乙女?って顔やめてください!!津川は後で殴るとして」

「だから巴投げするつってんじゃん」

「だからお前の受身取りづらいんだってば」

「進まねえから早く座れ」

「花宮さんも酷いと思いません!?」

「ふはっ事実じゃねの?」



なかった。

平均よりは軽いですしおすし…!!


段々と当たりが強くなってる気がするけどいいもん。女の子に癒されるもん。

男子がやったらセクハラや変態扱いされるけど同性ならできることするもん。胸に顔埋めるもん。


そんなことを思いながら桃井ちゃんに抱きつく。ふははどうだ羨ましいだろう!!



「わっどうしたの?双葉ちゃん?」

「自慢しようかと」

「何を?」

「雨倉そこ退け。くっっっそ羨ましい!!」

「はっはっはー!!いいだろう、いいだろう!!?女子の特権!!!」

「…あっそ、そういうこと?やだーっ恥ずかしいよっもう!!」

「うぶっ!?」

「ちょっとアンタ、ワザとじゃないでしょうね?」

「何のことですかぁ?あ、リコさん同じことできないから嫉妬してるんだぁー!」

「上等だ小娘クラァァアッ!!!」



なんかリコさんと桃井ちゃん言い合ってるけどこれガチめに呼吸しづらい。

何とか桃井ちゃんの胸から離れて酸素を吸う。


自業自得だって春日先輩に言われるけど何も言い返せない。事実だしね…!!ぐぬぅ!!


さて、少し苦しかったけど癒されたので話を戻そう。


今回、探索メンバーを発表するのは誰だろうと思っているとリコさんが口を開いた。

ひゃっふう凛としたリコさんの声が美しい!!と思っていたら赤司くんだったでござるの巻。



「うん、みんな座ったわね」


「それじゃあ次の探索組を発表する。

春日さんのチームは古橋さん、中村さん、日向さん、笠松さん、火神。

岩村さんのチームは永吉、岡村さん、原さん、伊月さん、涼太。

雨倉のチームは小金井さん、小堀さん、諏佐さん、高尾、敦だ」


「主将がとうとう探索に…」

「B級ホラーだめな奴いるから」

「情けないよ津川」

「うるせー!!なんであんなの平気なんだよ!!!」



怖くないからね。ホラーやグロはいけるけど驚かされたら普通に驚くよ。


坂本先輩なんかは後ろから「わっ!!」と大声をかけても「あぁ、雨倉じゃん」とまったく驚かないけど。

だから坂本先輩を驚かせようとしても驚かないので面白くない。


津川は坂本先輩を見習って情けなさをなくすべき。

女の子はじゃんじゃん頼ってきてほしいよ。そりゃあもう両手に華では収まらないくらい。



「それぞれチームの役割は?」

「雨倉が狙われてんなら待機させる方がいいんじゃねぇの?」


「寧ろ好都合かな?原因は女の子らしいけど物理で解決するなら躊躇いはないよ。

私の前に出てきて私1人でなんとかしなきゃなんない事になったとしても皆で出たいしね」


「一回決めたことは断固として揺れんよウチの後輩は」

「自慢の??後輩ですよね?ね?」

「うっぜぇ〜」

「ゆったりと毒吐かれた!!!」

「雨倉は暗号通り子供部屋の天井裏を探索してくれ。

岩村さんはベッドしかない部屋に行って入力キーに何かあればメモをしてください。

春日さんは…」


「人探し続行ね。まかせんしゃい〜」



プラプラと手を振って了承する春日先輩に赤司くんがお願いしますと言った。


我が儘を言えば主将と探索に行きたいけど流石にダメだろう。知ってた。

なので何も言わずに今回一緒に探索する人たちのところへ行く。



「……」

「?どうしたー雨倉ちゃん」

「いや…」

「ね〜。本当に強いの〜?」

「まぁね!出来れば出なくていいけど、化物出たときに分かるよ!」

「おぉっ逞しいな!!…そして同時に悲しい」

「言うな」

「言っちゃおしまいだ」

「…うん。皆さんのこと全力で守ります」

「だからどうしたの雨倉ちゃん。何の決意?」



今まで一緒に探索に行った人たちより凄く落ち着いてるというか癒されるというか。

なんとなくだけど今までで一番落ち着いた探索になりそうだなぁと思った。
 
 

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