夢想曲1

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「…青巻紙赤巻紙黄巻紙、青巻紙赤巻紙黄巻紙、青巻紙赤巻紙黄巻紙」

「「突然どうした!?」」

「魔術師魔術修業中、魔術師魔術修業中、魔術師魔術修業中。降旗くんどーぞ!」

「えっ!?ま、魔術師魔術修業中、魔術師魔術修業中、魔術師魔術修業中」

「おぉっ!フリも早口言葉いけるんだったっけ?」

「簡単なやつならね。雨倉ほどじゃないし…」

「bravo!凄いね雨倉さん」

「氷室さんの英語の方がブラボーですよ」



発音の良さにびっくりして同じように返すと発音を指摘された。これ如何に。

やることがないから早口言葉言ってたのを聞いて興味持たれたんじゃ…あれれ??


bravo返ししなきゃよかったのかよ畜生…と心の中で少しばかり後悔しているとドアが開いた。

別のチームが帰ってきたようで振り返ると春日先輩とその後ろから覗く坂本先輩。……え?坂本先輩?



「うわっ雨倉なんだよその間抜けヅラ」

「え!!?何で坂本先輩が!?」

「あれ津川いたのか」

「居ましたけど!!って雨倉まじで間抜けヅラしてんじゃん。ウケる」

「ウケんなぶっ飛ばすぞ」


「あーっ!赤司だ!永ちゃんもいるって聞いたのにいない!何で?」

「永吉は今、探索に出ているよ。怪我は?」

「ない!」


「何だ、全員いたのかよ」

「おぉ、木村。軽トラ貸して」

「何でだ。こんな所に来てまで変わらないなお前は」

「ぶはっ違いますよ木村さん宮地さん嬉しいからこんなこといって、いてててて!!!」

「うるせーよ高尾轢くぞ」


「今吉さん!無事だったんすか!」

「よー若松に桃井。青峰と諏佐も嬉しそうな顔してーワシ幸せもんやなぁ」

「「してねーよ」」

「あの、桜井くんは…」

「ワシらん所では会っとらん。けどまぁ負けず嫌いやし何とか粘るやろ。そういうやっちゃ」



坂本先輩が春日先輩の後ろからひょっこり登場すればそりゃ驚くよ。


坂本先輩と大室先輩は護身術を専攻していて私達ほどではないけどそこらの不良よりは断然強い。

となると大室先輩もいるんだよなーと思い正邦が揃ったら探索チームも一気に増えるだろうな。


あ、でもそれだったら待機組にも危険が及んじゃうか。むむ、ちょっと難しいぞ。

少し考え事をしていると後ろから坂本先輩に蹴られた。ほらね?先輩たち扱い酷いでしょ?



「正邦の紅一点になにするんですか!」

「「「え、どこ?」」」

「拗ねた」

「拗ねんなって。らしくねーシケた面しやがって」

「いひゃい!はにふふんへふか!」

「話は春日から聞いた。大室も話聞くかもしんねーけど…1人で抱えることだけはすんなよ」

「!」

「お前変な所で抱える癖あっからな。その隙を突かれちゃここまで頑張った意味ねーだろ。気張れよ」

「さ、坂本先輩……っでも頬抓るのはやめてくらひゃいひゃい!!!」

「いやーだってすげぇ伸びるんだもんよ。面白ぇ」



さっきまでいい事言ってたのに台無しだよ。クールぶってるけど中身津川だからねこの人。

ある一種の詐欺だろ…と思う。居てくれて嬉しいような悲しいような複雑な気持ちになるよ。何とも言えない。


抓られた頬を桃井ちゃんの手で挟んでもらって冷やしていると再びドアが開いて大室先輩を筆頭に帰ってきた。

最後は主将だったけど頬が痛いのではしゃぐにはしゃげない。

そんな私を見て拗ねたのか。まぁな。そうか。なんて落ち着いたやり取りをしているのを聞く。



「桜井くん!大丈夫だった!?」

「だ、大丈夫です…自分なんかが最後で皆さんにご迷惑をおかけしてスミマセンっ!!」

「謝ることないやろ。全員無事なんやから喜んどきぃ」

「っはい…!」


「征ちゃん!!怪我とかしてない!?平気!?」

「僕は平気だ。玲央はどうだ」

「征ちゃんに会えて吹き飛んだわよ!」

「大袈裟すぎんだろ」

「うるさいわね。あ、そうだ黛さんもいるのよ」

「ゲ。余計なことを…」

「うわ!生きてた!」

「殺すぞ」


「ツッチィィィイ!!」

「コガーッ!だけじゃなく皆無事で良かったー」

「怪我もしてないみたいだし、本当に良かったわ」



ワッと各学校での再会劇が起こっている中でパンッ!と手を叩く音が響いてそちらを見る。

赤司くんが全体を見回してから自己紹介やこれからの事を話すから円になって欲しいと言った。


改めて見ると、これだけ多くの人が巻き込まれてるんだよね…あの日記の子はこれだけの人を一体どうやって。



「正邦3年の坂本健二郎だ。こっちは大室義一」

「洛山2年の実渕玲央よ。こっちは葉山小太郎と3年の黛千尋さん」

「秀徳3年、大坪泰介だ。で、こっちが木村信介」

「誠凛2年、土田聡史と水戸部凛之助」

「桐皇3年の今吉翔一や。横におんのは1年の桜井良」


「全員大きな怪我をせずに済んで良かったです。しかし全員が集まったからと言ってすぐに出れるわけではない。

原因については既に分かっていますが動機が衝動的で無理矢理にも思える」


「無理矢理…?周到な計画を立てていなかったということか」

「私も違和感はいくつかあるけど…」

「でも今はまず、探索結果を話して欲しい。その後また休憩を挟んでから原因やこの館について話そう」



そう言った赤司くんの言葉に皆の表情が引き締まる。

そうだ、全員集まったからって油断しちゃダメなんだ。寧ろここからが本番に近い…。

一応全員がこの館について現状わかっていることや日記のこと、私が狙われているということを知っているらしい。


…空気ぶち壊すようだけど、なんか狙われてるってピーティ姫みたいでちょっと嫌だなって思ったり。
 
 

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