番外編

□王様ゲーム
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もう何度探索に出て化物をなぎ倒してきただろう。

人見て化物見てを繰り返してくると体力だけでなく精神面も疲れてくる。

同じ人型してるから間違って攻撃とかしちゃったら私切腹しなきゃ…。


真剣な顔でそんなことを考えていると、森山さんがとある提案をした。



「あー…何が人で何が化物なのか」

「もう肌が黒いかどうかとか、欠けてる部分でしか判断できない…」

「集中力がなっとらんね〜1年組は」

「…王様ゲーム、しないか?」

「…森山にしてはいい案だな」

「ただの森山さんじゃなかったんスね」

「森山はずっと森山だよ!?」



ガーンっとショックを受ける森山さんに海常の人たちがうるさいと言う。

ピシャリと言うところが清々しいなぁ。


でも赤司くんはふざけるなって言うんじゃなかろうか。

そう思って横にいる赤司くんをチラリと横目で見てみると、何やら思考中だった。

あれ、もしかして賛成派ですか?というか皆結構ノリノリっぽいなぁ…。


私王様ゲームは春日先輩の独裁政治みたいなものだと思ってるからイメージは良くないんだよね。



「なんか言った?」

「イエ何モ」

「いいかもしれないね。気持ちを切り替えるという事でしょう?」

「そうだ!俺が合コンの為にとネットで調べたら王様ゲームが盛り上がると書いてあってな」

「だーから!ネットは禁止って言ったっスよね!?」

「赤司くんが乗るなんて珍しいですね」

「そうかぁー?アイツ中学ん時もあんな感じじゃなかったか?」



本来メモをするはずの紙とペンを使ってクジを作る。

番号をふって言いだしっぺの森山さんがクジを持って皆のところを回る。


ただ女子の前にきたら片膝ついて差し出すようにしてくるのに苦笑いをした。

そのせいか、笠松さんたちに呆れられたり蹴られたりしてるけどいいのかな。


淡々と進んでるけど盛り上がるのかな、と思ってたら王様が挙手をした。



「僕だ」

「うわー…わかってた」

「はいはい。じゃあ命令は?」

「そうだね…じゃあ、10番が2番を背負ってくれ」

「「え」」



声を揃えて反応したのは若松さんと降旗くんで、いい方なのかな、と思った。

それでも当事者たちはそんなことを思えないから嫌そうな顔をする。


けれど王様の命令は絶対。意を決して、気合の声をあげながら降旗くんを背負う若松さん!

ガタガタと震える降旗くん!そこで思ったのが、いつまで背負い続けるんだろうということ。

たぶん時間制限とか決まってないから限界がくるまでか、赤司くんが止めるまでなんだろうな。


頑張るなぁと思いながら見るけど、何だか二人共辛そうだ。



「降旗くんこっち向いてー」

「何で雨倉写真撮ってるの!?」

「降旗!」

「えっ木吉さん止めてくれる…」

「ピースするんだぞ!笑顔でな!」



そう笑顔で言う木吉さんに降旗くんは全てを諦めたような顔をした。

結局若松さんの限界が来て降旗くんは降ろされた。お疲れ様。


次の王様は早川さんで、命令は5番がブリッジして12番がバク転でその上を越えること。

超アクロバティックな要求してきたよこの人、と思いつつ自分の番号を確認。3番だ。


5番が原さんで12番が春日先輩。意外とキツイと言う原さんの上を容易に越える春日先輩。

おおーっ!と歓声が上がった。アクロバットはやったことないけどできるのかな。

武術やってるからできないことはないんだろうけどやった事ないからやってみたい。


今度春日先輩に教えてもらおうと心に決めた。




「次の王様はー?」

「俺みたいだな」

「諏佐さんなら大丈夫っスね!」

「まぁ変な命令はしてこないから安心っちゃ安心だな」

「じゃあ8番が9番の上着を着てくれ」

「あ、8番私ー!9番誰?」

「俺なのだよ」

「お、緑間くんかー。貸して貸して」



そう言って追い剥ぎのように学ランを貸してもらって羽織る。うん、でかい。

萌えなんてなんのその。でかすぎてワンピースだよ。


長ラン?なんて言われてみんなが納得するくらいだし。身長寄越せよ緑眼鏡!!


そして次の王様は宮地さん。当たりませんようにと願いながら番号を見つめる。

3番と13番で殴り合いをしろとの命令。3番は黒子くん、13番は黄瀬くん。…あっ。

殴り合いというより黒子くんの一方的な殴りによりあっけなく終了。


こんな物騒な命令も嫌だなぁと思いつつ次の王様を決めるためにクジを引く。


次は日向さんだったようで、命令は11番が7番に膝枕をしろとの命令。



「主将何番ですか!!?」

「2番」

「ガッデム!!」

「ガッデムじゃねーよ」

「双葉ちゃん7番?」

「うん。主将に膝枕してもらえると思ったのに!!」

「あ、する側じゃないんだな」

「よかった!私11番なの!」

「えっなにそれ素晴らしい昇天しそう」



落ち着け、と言われるけど気にしてられない。

桃井ちゃんに膝枕してもらって最高にだらしない顔をした後に男性陣に向かってドヤ顔をする。

何人か悔しそうな顔をしてるのが面白かった。ふはははは!羨ましかろう!!


その後も王様ゲームは盛り上がっていつ終わるんだろうと一切思わずに楽しんだ。

こんなに大人数だと楽しめないかと思ったけどそうでもないね!!


ちなみに最後まで王様の命令で主将と何かするということはなかった。悔しい!!!

 
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