番外編
□びしょ濡れ
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どぅっとぅるっとぅるー。
はい皆さんどうもこんにちは!正邦のアイドル双葉でごわす!!
化物に掴まれた手じゃ探索中にキツくなりそうだということで主将も含めて行くことになりました!
それが決まってから私のテンションは下がることなく大気圏突破気味ですきゃっほい!!!
リコさんがマッサージしてくれたおかげでマシにはなったけど無理は禁物、ということらしい。
「きゃっほぉぉぉぉおお!!!わーいわーいっ!主将と探索っ主将と探索ぅ!!」
「うるせぇチビ」
「騒ぐな黙れ」
「ちょこまか動くな目障りだ」
「おっほほほ!!酷い言葉だって今の私にはどうってことないのですよ!!
なぜなら主将と一緒だから!!私なんだって出来る気がする…!」
「その主将にも罵られてたけど、いいの?雨倉さん…」
「主将にならいくらでもっ」
ばちこーんっとウィンクをしながら言うとドン引かれた。なんだよ。なんだよ!!!
無理はするなと注意を受ける。そのために主将が一緒に行くんだもんね。
不謹慎なこと言うけど、怪我してよかった…ってか私この幸せを味わうために怪我したんじゃないかと思えてきた。
歓喜に包まれて踊りかけていると、みんな既にドアの前にいたので慌てて駆け寄る。
…というより、主将に向かって突撃しようとしたら避けられて花宮さんの鳩尾に入った。すまそ。
頭を掴まれてギリギリいってる中、緑間くんがドアを開けようとしたので逃げ出してドアの前に行く。
「私開ける!」
「そのまま転けろ」
「地味に嫌ですね??…じゃあ行ってきます!」
「怪我をしないようにね」
「はーいどぅえええ!!?」
「「「えぇぇええ!!?」」」
ドアを開けて一歩踏み出すと地に着かず空を切って落ちる。
えっ。と思ってるとザブンッ!と音を立てて何故かできている水たまり…じゃない池?に落ちた。
もがきながらも浮上して状況整理をしようとしていると主将が引っ張り出してくれた。
それに興奮する余裕もなく底なしだったような、もし泳げなかったら沈んで…?あれでも何でこんなのできて?え?
「び、びびび、びっくりした。びっくりした!!!」
「ちょ、一旦戻れ!!」
「なにあれ水たまり…?」
「それにしては底が見えない上に沈んだのだよ」
「何にせよ雨倉びっしょびしょだな…寒そう」
「大丈夫かよ雨倉」
「…あ、鼻に水入った。いった…」
「うわぁ」
あれの存在はともかく冷水に沈んだおかげで全身びっしょびしょだ。
このままじゃ風邪を引いて探索どころでは済まなくなる。
どうしよっかなー、とため息をつきながらセーターを絞る。
シャツの中にはTシャツ着てるしスカートの下には津川から借りた体操ズボンがあるから脱げる。
でもそれらを脱ぐとなったら皆に怒られそうだからリコさんと桃井ちゃんに手伝ってもらわなきゃ。
色々と考えているとため息をつきながら春日先輩がセーターを、赤司くんがブレザーを差し出してくれた。
「えっ」
「そのままじゃ風邪引くっしょ〜。心優しい先輩が貸してやんよ」
「ソファの裏で相田さんと桃井に手伝ってもらってシャツなどを絞ってこれを羽織ればいい」
「絞ったとはいえ冷たいシャツをもう一度着るんだし少しでも温める方がいいからね」
「じゃあ行こっ双葉ちゃん!私とリコさんで隠すよー」
「アッはい」
私がどうしようと思っていたことはあっさりと進んで何も問題がなくなった。
流石だわぁ、と思いながら皆が反対側を向いたのを確認してシャツを脱いでは絞るを繰り返す。
スムーズに着替えれたはいいけど、やっぱりブッカブカだ。
プラプラーっと余裕のある袖を揺らして、これは風邪を引かないだろうと思った。
それでもリコさんに細心注意はされた。脱出するのに熱出してちゃダメだもんね。
しっかし何であんな所に水たまり?があるんだろうねー。
もし私以外の人がドアを開けてたら落ちてたってことだよね?それもそれでどうかと思うけども。
「双葉ちゃん小柄だからブカブカだね」
「誰の上着を着てももれなくブカブカだよ!でも私としては主将のでも…」
「水浸しになるのは嫌だな」
「そんなびしょびしょのまま着ませんけどね!!!でもそんなところが好き!!」
「ブレねぇなお前も」
「俺がドア開けなくてよかった」
「花宮さんも素直ですね!!」
「暴れんなよ、水が飛ぶ」
「なんですかもう!!!心配する声が聞こえない気がする!」
ギャーギャーと騒いでいると赤司くんと目が合って、真顔だったので大人しくソファに座った。
すっかり手懐けられてる…って聞こえたけど言ったの誰ですか。桐皇と誠凛辺りから聞こえましたけど。
まったくもう、失礼な人ばかりだ。と拗ねているとリコさんに頭を撫でられたからよしとしよう。