番外編
□2019年
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とある一室にて、私は手に持っていた資料を机に置いて席についた。
とんとんと書類をきれいに揃えてから斜め前に目をやる。
そこには頷いて合図する男子生徒がいて、私も同じように頷いて小さく咳払いしてから声を発した。
*
「第n回目!双葉ちゃんの突発ラジオのお時間でーす!!ひゅー!どんどんぱふぱふ!!
ということで、はい!始まりました!皆さんどうもお久しぶりでございます【夢想曲】主人公の雨倉双葉です!
既に知っている方も忘れていた方も初めましてな方…は早々いないと思いますがよろしくおねがいします!!
新年の挨拶は管理人が喪中の為控えさせていただきますのでご了承ください!
『なんで突然こんな事を?』『え、生きてたんだ』『倉庫ってか物置のが表記正しくない?』
そんな言葉が聞こえてきそう!いや寧ろそんなマイルドで優しく暖かい声があるのかすら怪しい!!
しかし!!私は!!進行をやめない!!何故かって?私こそが真のヒロインだから!!!!」
「雨倉巻きで」
「お黙り津川!今日の進行は私。そしてメインも私。私をもてはやすラジオだよ。よいしょして」
「お前ら部室で何やってるんだ」
「はわぁっっ主将!!!!年明け早々主将の逞しく凛々しい風格を拝めて幸せっっ!!!!!」
「お前は相変わらずだよなぁ」
「黒バスが変わらずして私が変わると思いますか!?いいえ変わりませんとも!!そう、それは主将への愛も同じ!!!!!」
「雨倉ラジオに変わりまして坂本ラジオに変更します。はいはい皆さんどーもー」
「乗っ取られた!!!」
「…で、お前何がしたいの?」
「皆さんご存知ですか?ここ【シロツメクサ】がサイト開設2014年4月21日で、私たちが出る【夢想曲】が2015年7月31日に完結。
そして2017年4月21日に倉庫化。つまり開設して今年で5年目を迎えて倉庫化して2年を迎えるわけです」
「うん」
「だから?」
「え、冷た…なんか、何かないんですか?思い入れとか感慨深さとかそういう…」
「んー…言っても俺ら開設1年後に話は終わってっしな…」
「だよなぁ」
「平成が終わるんですよ!!?!?!これは!!!!これは大事件じゃないですか!!!!!」
「どこが?」
「うわ冷めてる!!これじゃまるで私がノリで突っ切ろうとしてるみたい!!!
春日先輩知ってます!?管理人が【夢想曲】の続編書こうと何度かチャレンジしてたこと!!!」
「寧ろ完結前から話は考えてたんしょ?」
「イエス!!続編決定の絵まで描いておいてこの始末!なんと言うことでしょうね主将!!」
「でもだからって続編決定とかサイト再開とかの知らせではないんだろう?」
「じゃあ何のために俺らここにいるんだよ」
「そうなりますよね!!正直私も構想段階の話で花宮さんとリアル脱出ゲームみたいな事させられたり、
脱出の中盤まで私含め正邦の誰も出て来ず怪物に追われている皆のところに飛び蹴りログインしたり、
無冠の五将の皆さんと人狼を模したような謎ルールの館からの脱出をしていたと思ったら何故か霧崎第一の皆さんに変わってたり、
寧ろクロスオーバーで某バレーボールの人達が閉じ込められた異空間に私達正邦も閉じ込められて脱出目指したり、
もう色々!!!!本当に色々あったんですよ!!!でも!!!!!」
「そのどれもが途中でトリックとか伏線とか話の起承転結も何もかも浮かばなくて破棄になったんだろ」
「津川がハゲのせい!!!!」
「ハゲじゃねーよ坊主だよ!!!!!」
「なら俺たちがいる意味はないんだな?」
「なんか、平成最後だしサイト放置してるし何かしたいなって思った結果今更自分で堅苦しく話すより私達を使おうと思ったみたいで」
「姑息なのかビビリなのか」
「存在覚えてただけいいんじゃないか。本当は【夢想曲】書き直したいらしいが」
「覚えてるし何か話置きたいけどそもそも浮かばないし書けないしコメントも確認してないって」
「クズ」
「私ね、一つ思うんですよ。こうして私達が話すからこういう黒歴史って消えないんじゃないかって」
「自分で自分の傷をえぐるやつな。雨倉が得意なやつじゃん」
「違いますけど!!?」
「このまま駄弁ってても無駄だし雨倉締めの一言」
「いやここは主将に」
「しゃーねーな。そんじゃ俺が」
「なんでそこで津川なわけ?主将に決まってるでしょ!?津川と主将なんて塵と神の差なんだから!!」
「人ですらねーのかよ俺!」
「すげー格差」
「もういいだろう。雨倉が締めろ」
「主将と隣に並べて幸せです!!!以上」
「いやいやいや」
「もうちょいこう…皆さんに向けた言葉をさぁ…」
「えー……よく分からない始まりに内容に終わり方ですけど皆さんと一緒に喋れて楽しかったです!
ただ何をしたかったか本当に分からない。書きたかっただけなのかもしれない」
「分かる」
「そんじゃテニスコートでバドミントンしようぜ。負けた奴は雨倉からのウィンクな」
「ちょっと春日先輩!!?それ勝った人じゃないんですか!?負けなんですか!?ちょっと!!ねえ!!!!!!!」