Who is she?

□爆弾魔ヒステリア編
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【依頼】





「ねぇ、桂木さん!」
「ふぇ?」
「桂木さんって、探偵、してるんだよね」
「う、うん。まぁ…」
「お願いがあるの!」


登校するなり声をかけてきたのは、私のクラスメイトである橘 望愛さん。

その顔からは声とはかけ離れた必死さが伝わってきて。


「私の叔父を、探して欲しいの!」



橘 望愛さん。
彼女はとても愛らしい外見、そして外見にもく似合う声で学年、いや学校全体の男子生徒を魅了したと言われるほどの(叶絵談)女の子だった。
何故過去形かというと、つい三ヶ月ほど前から彼女はある事情で休学していた。
そのある事情、というのも私も風の噂程度しか知らないが、身内が立て続けに亡くなったらしい。

そうしてかつて学校全体の男子生徒を魅了した言われていた彼女は今では浮いた存在になっていた。
そんな彼女が探偵をやっている私に依頼してきたのは『叔父を探すこと』。

彼女曰く『必ず何処かにいる。私にはもう身寄りがないから探して欲しい』ということだった。



「……だめ、かな」
「うーん。それなら、放課後一緒に事務所行かない?そっちの方が早そうだしさ!」
「いいのっ?!」
「まぁ、多分大丈夫、だと思うし」
「良かったぁ…。あ、でもごめんなさい。一緒には、行けないかも…私これからまた家に戻らなくちゃいけなくて…放課後、直接事務所の方に伺わせてもらうね」
「うん、わかった。じゃまた放課後に」



放課後の約束を取り付けると彼女は自分の席に置いてあったコートとカバンを持って教室から出て行った。


「あんた、大丈夫なの?」
「え、何が?」


呆れ半分、心配半分で叶絵が私に話しかけてきた。


「いや、だってあの橘じゃん?」
「大丈夫でしょ。……多分」
「休学から戻ったと思ったらあんたに依頼してそのまま帰るってそのためだけに来たみたいね」
「しょうがないよ」

ーーーまぁ、そうだよね。橘の親戚って、3年前怪盗Xに皆殺しにされてるもんね。


そう。彼女の親戚、つまり両親、兄、そして彼女以外の血縁のある人間は全て怪盗Xによって全員箱にされていた。
それが発覚したのは彼女の母親が亡くなってから、誰から漏れたのかはわからないが新聞にもなる大事件だったのは私も覚えている。

でも血縁のある人は箱にされたってことらしいけど叔父なんて人、いるのだろうか。
そんな疑問符が浮かんだけど私は考えを振り払う。

何はともあれ、全て風の噂に過ぎない。私は彼女の口から何も聞いていないのだから下手な先入観はまずいだろう。


その時、鞄の中に入っていた携帯がかつて見たことないほど振動していて。慌てて開くと着信はネウロからだったので、しょうがなく通話ボタンを押すと。


「このナメクジめ。電話に出るのもとろいとは」
「第一声がそれ?用事があってかけてるなら罵倒しないでよね」
「先程の女、謎の気配がする。それも、複数」
「え、てか見てたの?」
「今すぐ追いかけて事務所へ連れてこい」
「いやいやいや、橘さん用事あるって言って」
「黙れゾウリムシ。貴様の意見なぞ聞いておらん」


20分以内に連れてこい。さもなければ貴様を屋上からノーロープバンジーをさせてやる。






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