Who is she?

□爆弾魔ヒステリア編
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ネウロはそう言うと一方的に電話を切ってしまった。
それと同時に私に残された時間が20分だけということはもう明白で、頭をフル回転させると。そう言えば、彼女の連絡先を貰うのを忘れていた。


「ッ叶絵!橘さんの連絡先わかる?!」
「何よいきなり」
「早く!そうじゃないと私屋上からノーロープバンジーやらされちゃう!!」


なんじゃそら。
と訝しげにしながらも携帯の画面をスクロールさせる叶絵。
私はその中に彼女の連絡先があることを必死に祈った。


「ほら、これでいい?」
「ありがとう!!」


叶絵の手から携帯を奪ってそのまま決定キーを押して彼女に電話をかける。


「ちょ、自分の携帯でかけなさいよ!」


なんて怒っている叶絵は放置して。

数コールののち、通話状態になりそれを認識した瞬間、私は叫ぶように彼女に言った。


「橘さん!これからでもいい?!」
「ーーえっ、これから?」
「うん!ぜひ!」
「ーーでも、桂木さん、学校は…」
「それは大丈夫!」
「ーーなら、お願いしようかな…」
「今どこにいる?」
「ーーまだ校門のところ」
「じゃあ今すぐ行くから!」



相手の返事を待たずに電話を切って叶絵に投げて携帯を返すと出したばかりの教科書やらノートやらを乱暴に鞄に詰め込んで走り出す。
後ろでは叶絵が「待てゴラァ!!恩をあだで返しやがって!」とブチ切れていたが、今の私の耳には入る余裕はない。

全力で校門まで走っていくと、門にもたれかかって待つ橘さんの姿があった。
肩で息をしながら彼女の元に行くと、心配そうに私の顔をのぞき込んで。


「大丈夫?」


そんなに急がなくても良かったのに。
と付け加えた彼女は私の状況を知らない。
あと15分しかない。急がなきゃ。と歩き出そうとしたら目の前に一台の黒い車(多分リムジン)が止まった。と思ったら中から二人男の人が降りてきて橘さんに向かってお辞儀をした。


「望愛お嬢様、お待たせ致しました」
「お荷物はこちらへ」
「はい」
「………橘さん、これは」
「あ、さっき桂木さんから電話もらったあと迎えに来てもらうよう連絡いれておいたの」
「へぇ…」


言葉が出ないとは多分こういうことなんだろうなと思った。
黒服の男の人に促されて、私は橘さんの後に続いて車に乗り込んだ。


「橘さんって、実はお嬢様…?」
「…そんなことないよ」



そう小さく言った彼女の瞳が悲しげに揺れていた。私は聞いちゃいけなかったかな、と気まずい雰囲気が流れる中でふと携帯を開くとネウロに言われた時間まであと5分しかなくなっていた。



「そうだ!あと5分で事務所につかないと殺される…!」
「あと5分?」
「あ、いや何でもない!…何でもない…よ」
「それなら大丈夫だよ、すぐ着くと思うから」


それって、と口を開きかけたところで、車のスピードが緩くなって停止した。

男の人がドアを開けると、目の前には見慣れたビルがあって、学校から20分はかかるはずの距離を15分で…?
いや、今はそんなこと考えている場合ではない。


「橘さん、行こ!」

こくりと頷く彼女は、黒服に何か話している。そしてすぐに、にこりと笑顔を浮かべてこちらを見た。

話の内容はわからなかったけど、とりあえず私達は時間ギリギリに事務所の扉を開いた。






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