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□おばけ
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皆さん、こんばんわ。
神崎椎香です。


郁ちゃん達の内勤が始まって早数日。
手塚くんはいいものの、郁ちゃんはなかなか書架配置を覚えてくれません…。

さすがにこのままじゃまずいので、郁ちゃんにも皆にも分かりやすいように地図を書こうと思います!

「神崎教官!一緒に帰りませんか?」
「ゴメンね、私やることがあるの。先に帰ってて。ゴメンね。」

「手伝いましょうか?」と言われたけどそれじゃ意味がないので断った。
そして郁ちゃんは元気に帰寮した。

それから数分、小牧くんと手塚くんが来た。

「神崎、居残りするの?」
「うん、地図を書こうと思って。」
「そっか、頑張って。」

そして彼らも帰寮した。

「あ、夜の書庫って出るから、気を付けて。」
「…え。」

たった一つの恐怖を残して。




































地図を書き終え、それも貼り終わり後は戻るだけとなった。
そこでふと、今まで忘れていた小牧くんの言葉を思い出す。

「で、出るって…、嘘、だよね。」

季節は夏。
そうゆうのが出てもおかしくない。
書庫にはカツ―ン、カツ―ンと私のヒールの音が響く。

そしたら突然横からぬっと何かが出てきた。

「キャー―――!!」

私は、反射的に回し蹴りをする。
そしたらぱしっと足を止められた。

う、嘘…。
幽霊って触れたっけ…。

「しぃ。」

バカなことを考えていた時聞こえたここに居るはずのない声。
閉じていた目をゆっくり開けるとそこには心配そうな目をした篤がいた。

「あ、篤…。」

私は、ホッとして足を下げる。

「ご、ごめん。おばけかと…」
「それでいきなり回し蹴りなのか。しぃ。」

ぶつぶつ言ってる篤に黙ってついていく。

「しぃ、どこまでついてくる気だ!?」
「へっあ、あれ?つい…。」

私は男子トイレまでついて来ていた。

「ひ、1人になりたくなくて…。」

自分の腕をぎゅっと握りながら言う。

「…いいか!おばけなんて出ない!小牧の冗談真に受けるな。」
「えぇっ、冗談だったの…。」

私がぶつぶつ言っているとポンと頭に手が置かれ、くしゃっと撫でられる。

「今日は寮まで送ってってやるから。」
「あ、篤!」

篤の優しさが嬉しくて抱き着いた。












―おまけ(翌日)―
「もう、嘘つかないでよ!」

翌日、朝一で私は小牧くんに怒った。

「ははっ、でも俺のお陰でいちゃつけたでしよ?」
「もぉぉ!!小牧くんっ!!」

その日は1日小牧くんに怒っていた。
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