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□4話
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パンパンッと銃声が鳴り響く。
その銃声は、郁ちゃんのものだ。
「や、やりました小牧教官!初めて紙に全弾当たりました!」
「うん。紙に、ね。」
どうやら郁ちゃんは初めて全弾紙に当てた事を喜んでいるらしい。
「アホっ、的に当ててから喜べヘタクソ!」
ニコニコしていた郁ちゃんを堂上くんが叩いた。
「もう、堂上くんったら…。頑張ったね。郁ちゃん。」
「ありがとうございます!椎香教官!」
私が褒めると、郁ちゃんはまたニコニコと笑った。
「笠原さん、手塚が撃つよ。巧いヤツ見て勉強勉強!!」
パンッパン
手塚くんが撃った。
でも、いつもの手塚くんみたいに全弾的の中心に当たる事はなかった。
手塚くんらしくない…。
次の日。
私は、堂上くんと共に書庫にいた。
「昨日の手塚くん、珍しいよね。射撃で的外すところ初めて見たかも。」
「あぁ、そうだな。そういえばまた出たぞ。所在不明図書=B」
「え、また?」
「あぁ。笠原が探したから見つけられなかったという訳でもないらしい。」
「もぅ、またそんなこと言って…。」
堂上くんは郁ちゃんには厳しい。
でも、それが郁ちゃんと郁ちゃんの家族の為だってことを私は知っている。
知っているから辛い。
家族の事も気遣うくらい、堂上くんは郁ちゃんが大切なんだ。
「どうした?しぃ、行くぞ?」
「あ、うん。」
私は、堂上くんの背中についていく。
ねぇ、堂上堂上くん。
貴方はその背中にいったいどれほどのものを抱えているの――――?
次の日の夜。
私は、麻子ちゃんと2人で所在不明図書を調べていた。
私は麻子ちゃんとは少し離れたところで調べていた。
現在の所在不明図書は全部で15冊。
さすがに多すぎる。
館内整理から、まだ1か月余り。
貸出手続をしていない図書の館外持ち出しを防止する探知機も付いている。
そう簡単に紛失図書なんて出る訳ないのに。
「椎香教官、この並び何処かで見覚えありませんか?」
少し大きめの声で麻子ちゃんが私の名前を呼ぶ。
麻子ちゃんが今見ているその並びとは、私も気になっていたものだった。
「う〜ん…。」
私達が頭を悩ませていた時麻子ちゃんが誰かと喋り始めた。
耳を澄ませばそれは鳥羽館長代理だった。
「残業か?君は。一人かね。」
「いえ、もう1人残ってますよ。」
そこからはうまく聞こえなかった。
けど、麻子ちゃんはうまく切り抜けたようだ。
鳥羽館長代理…。
そういえば、業務部の子が言ってたっけ。
貸出制限をするとかなんとか。
貸出制限…
望ましくない図書…。
これってまさか…!
そういう事ね…。
「「不自然な出来事には必ず何らかの作為が働いてる―――ってね。」」
麻子ちゃんと声が被る。
どうやら麻子ちゃんも分かったようだ。