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□温泉
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かぽ――――ん。
女子三人で温泉に浸かる。
ほのぼのとした雰囲気の中「笠原さん達まだ入ってるー?」という小牧くんの問いに「入ってますよ、最高ですね〜」と郁ちゃんが答えた。
「気持ちいいね、麻子ちゃん。」
「そうですね〜」
温泉はどうやら私達の癒しにはちょうどいいらしい。
麻子ちゃんや郁ちゃんの普段は見れないでろーんとした姿を見ることが出来た。
「そう言えばさっき卓球台見かけたんですよー、オフロ出たらやりませんー?」
「お、いいねー。堂上もやるだろ」
「あぁ。」
卓球かぁ。
やってないなぁ、最近。
「そろそろ出よっか。」
熱くなってきた。
ちょっとのぼせちゃったかな…。
あ、確か自動販売機あったよね…。
そこでお茶買おう。そしたら座ってよう。
これからの予定を考えつつ温泉を後にした。
「堂上教官達、まだ来てませんねぇ。」と郁ちゃんが言ったからそれに答えつつ「篤浴衣着れるかな?」と言うと何故か麻子ちゃんがニヤニヤしていた。
郁ちゃんと麻子ちゃんと喋っている時、麻子ちゃんが誰かに微笑んだ。
知り合いかな?と思って私も微笑んでおいた。
しばらくして篤たちが来た。
しっかり浴衣を着ていて凄くかっこよかった。
あまりにもかっこよすぎて直視出来ず、顔を赤くして俯く。
「椎香、熱か?」
顔を赤くして俯いていたから、篤に心配された。「大丈夫だよ」と言って顔を上げるとそこには篤のドアップ。
またもや顔を赤くする私のおでこにこつんと篤のおでこが触れる。
「熱は、ないな。苦しくないか?」
本当に心配そうに聞いてくるから少し困らせたくなる。
「少し、苦しい。(色んな意味で。)」
私がそう言ったら篤は私の手をぐいっと引っ張って卓球台の前の椅子にストンと落とされた。
「あ、篤…?」
「どこが?どんなふうに苦しい?」
本気で聞いてくる篤に心の中でくすっと笑う。
「篤を見るとね、胸がきゅうってなるの。」
そう言ったら篤は照れながらも頭を撫でてくれた。
「椎香。」
皆の所に行こうとしたら篤に呼び止められた。
「なぁに?」と言って振り向く。
そこには、優しい顔の篤がいた。
その顔にまたときめいてしまう。
「卓球が終わったら、一緒に風呂に入るぞ。」
さう言って篤は言ってしまった。
ん?
【一緒に風呂に入るぞ】?
【一緒に風呂に】
【一緒に風呂】
【一緒に】
【一緒】
………。
「一緒!?」