ちっぽけな僕らのでっかいお話

□第1話
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春ヶ丘学園。

全国でも数少ない魔法を学べるこの学校は今日、入学式を迎えていた。
新入生は皆、上級生が握る杖の先から舞い散る桜の花びらに目を奪われ、期待と不安を胸に門をくぐっている。

そして
ここにもまた、宙を舞う桃色に心を踊らせた新入生が三人。


「凄い!凄いよ!桜が杖から一杯だよ!」
「綺麗…」
「ほら二人とも。見とれちゃうのは分わかるけど早く行かないと入学式の時間に間に合わなくなっちゃうよ」
「わかってるけどさ椎名、やっぱりあたしワクワクしちゃって!早く魔法の勉強したいなー。ねえ桜」
「柚ちゃんずっとやりたがってたもんね、魔法の勉強。私も楽しみだよ」
「もちろん魔法もだけど、私はまた二人と学校生活を送れるのも楽しみかな」


その賑やかな声は彼女達の親密さを物語るように響いていた。
と、ふと先頭を歩いていた椎名が振り向く。


「桜、柚」


「これからもよろしくね」


「「よろしく!」」


彼女達の物語は始まったばかり。
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