be hopeful

□日本
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気付いたら見たことのない風景。あれ、私のいた国ってこんな建物あったっけ?なんてうまく働かない頭を使って考えてみるも思い出せない。


「あなた、如月柑菜ね」


ふと呼ばれて振り向くと、そこには背が高く髪も長い綺麗な女の人が立っていた。


「…素敵な人」
「ふふ、ありがとう。ただあたしの質問にも答えてもらいたいわね」
「あ!ごめんなさい。私は如月柑菜…だと思います」
「…そう」


どうして?自分の名前なのにいまいち自信が持てない。何故この綺麗な人が私のものと思われる名前を知っているのか不思議に思ったが、それよりも私は如月柑菜だと肯定してもらえたようで少し安心した。


「…来る」
「え?」


私の隣に空間の歪みが生じたと思えば、突如現れる男の子と女の子。女の子はぐったりとして男の子に抱えられており、顔色がとても優れない。そして男の子はあの女の人に向かって叫んだ。


「あなたが…次元の魔女ですか!?」
「そうとも呼ばれているわね」

「さくらを助けてください!」


この女の子の名前はさくらというらしい。そして男の子が小狼。最初に出会った女の人が次元の魔女さん?彼らの切羽詰まったやり取りの中に入り込むこともできず、私はただ彼らを見つめることしかできなかった。


「この子は大切なものをなくしたのね」
「…はい」
「そして…それは色んな世界に飛び散ってしまった。このままではこの子は死ぬわ」
「…っ」
「四月一日、宝物庫に行ってきて。取ってきて欲しいものがあるの」
「は、はいっ!」


四月一日、と呼ばれた人が奥の大きなお屋敷に走っていく。飛び散った?このままだと死んじゃう?目の前の会話に着いていけず息を飲む。


「その子を助けたい?」
「はい!」
「対価がいるわ。それでも?」
「俺にできることなら!」
「…来たわね」


その言葉のすぐ後、再び空間が歪んだ。今度は二つ。中から現れたのは、白い服と金髪に瞳の蒼が映える綺麗な男の人と、髪と服共に黒く鋭い紅の瞳が印象的な男の人。


「貴方が次元の魔女ですかー?」
「てめぇ誰だ?」


ぴったり重なった言葉に黒い人が白い人を睨む。


「先に名乗りなさいな」
「俺ぁ黒鋼。つか、ここどこだよ」
「日本よ」
「ああ?俺がいた国も日本だぜ」
「それとは違う日本」
「訳わかんねぇぞ」

「貴方は…」
「セレス国の魔術師、ファイ・D・フローライトです」
「ここがどこだか知ってる?」
「相応の対価を払えば願いを叶えてくれるところだと」


ここは日本で、黒鋼さんという人のいた国も日本でファイ…何とかさんという人がいたのはセレス国。私が聞いたことのない名前の国ばかりだ。そしてここは対価を払えば願いを叶えてくれる場所らしい。何故私はこんなところにいるのか。何か叶えてほしい願いがあったのか。駄目だ、何も思い出せない。
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