マギ
□*来ました救世主!
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それはほんの一瞬の事だった。
ついさっきまでこれから宜しくね、ぐふふ。とかぬかしながら私の肩を抱いてたセンスの悪い服のおじさまがぐぇっとかみっともない声を出して何処かへ飛んで行った。
も、もしかして私魔法使いの力に目覚め…
「はははっみっともねー!」
振り返ると長い三つ編みの腹筋逞しい男の子。
犯人が確定した事により私の淡い期は虚しくも崩れ去る。
「お、お前誰だ?客に何すんだ!」
うわー、なんか大変な事に…
領主様暴力的だからな、あの人大丈夫かな…
「うわっ!」
あー飛んでっちゃった…
あの三つ編みの人強いんだなー。
「じゃ、こいつ貰ってくぜ。」
えええ超絶展開。
もしかして私の事だったり…?
「おら、何突っ立ってんだよ行くぞ。
お前は俺に買われたんだよ。」
私の事だったチクショーー!
買ってないじゃん!強奪じゃん!
『は…はい…?』
えっ付いて行っていいのこれ行くべきなの?
もしかしてあれなの?女の子殴るのが好きとかそう言う性癖の持ち主で私は死ぬまでサンドバッグ?
「お前、もしかして腰抜た…?」
『ご…ご名答でこざいます…』
「はははっだせーっ!仕方ねーな。」
そう言うと彼は何処から取り出したか絨毯を出し、私を引きずってそれの上に乗せた。
何なんだこの人。
ここでお茶会でもするつもり?
彼が赤い石が付いた棒を翳すや否やその絨毯が空に浮かび上がる。
『ぅわっ…』
びっくりした拍子に絨毯から転げ落ちそうになる。
「おっと」
三つ編みがギリギリの所で掴んで救助してくれた。有り難い。
『す…すいません…』
「お前本当にどんくせー奴な。」
傷付いた!
本当何なんだこの三つ編み!三つ編み…
…この人の名前何て言うんだろ?
『…あの、お名前教えて頂けませんか?』
「ん?あぁ、俺はジュダルだ。」
『ジュダル様ですね、はいはい。
所で、何故私を助けて下さったのですか?』
「…何と無くだよ。」
『本当ですか?
実は女の子を殴る事が性癖で私は死ぬまでサンドバッグとかそんな展開なんじゃないですか?』
「…何、お前そーゆーの好きなの?」
『滅相もございません痛いのは嫌いでございます』
「生憎、俺は強い奴にしか興味ねーよ。」
『えっと、つまりジュダル様はホモなのですね?』
「叩き落とすぞお前」
『じゃあ、結局私はどうすれば良いのでしょうか。』
「知らね。俺の世話係でもやってれば?」
『んなアバウトな…』
「まあ悪い様にはしねーから安心しな。そろそろ着くぜ。」
高い所は怖いが彼が何処に行くつもりなのか好奇心に負けてしまい、恐る恐る覗き込んでみる。
「あの建物だ。」
…とそこには、
『ちょっと、ジュダルさん…
あれって、煌の宮殿じゃないですか!!』
「そりゃそうだ。
だって俺あそこに住んでるし。」
『えっ…貴方、何者でございますか?』
「俺が何者だってお前には関係ねーよ。ほら、着いたぞ。」
絨毯がふわりと地に着地する。
え、これ本当にいいの?
これ誰かに見られたら本当にやば…
「あっれ〜?ジュダルくんじゃん。ん?誰その子。」
はい処刑決定ー。
不法侵入で処刑決定ー。
私の人生ジエンドー。
「なんだ紅覇かよ。
俺が拾って来たんだ、お前にはやらねーよ。」
あれか私は道端に落ちてたおもちゃか何かか。やるって何だやるって。
「ふ〜ん?どーでもいーや。
まあ精々神官様が変な女連れ込んだって噂立てられないよーにしなよね!」
「ちょ、それ言うな馬鹿!」
そうそう神官様が変な女連れ込んだなんて大問題…神官…神官…?
『あの、すいません。
神官って、あの神官ですか?』
「そーだよ。あの神官。」
『神々しいの神に官僚の官の神官ですか?』
「うん。その神官。」
『さいですか、有り難うございます。ってええええええええええ!
神官ってあの神官?こんな若僧が?』
「うん。こんな若僧が。」
「お前ら俺より年下だろ」
『うわあああああやばい超絶失礼な事言っちゃったごめんなさいうわあああああもしかして私処されちゃう?処されちゃうの?いやあああああ』
「何こいつうざい」
「だから言うなって言ったのに…」
『大体ジュ…神官様も神官様です!
何故仰って下さらなかったのですか?!
あああああ数々の無礼を申し訳ございませんでしたお許し下さい処さないで下さい!どうか処さないで下さい!』
「処さないから落ち着けって!」
「ぷぷ。ジュダルくんはね、
お前を気遣って言わなかったんだよ。」
「ちげーよ馬鹿!」
『そうだぞ神官様に向かって失礼だぞこの半ズボン!
お前服から覗く太腿が艶かしく輝いてるぞ!』
「何こいつすごい態度変わった」
「…あっれぇ〜?
お前、僕にそんな口聞いていいの〜?
僕、第三皇子だよ〜?」
『…いやああああ処さないでえええええ!』
「もう分かったから落ち着け!
良い加減部屋行くぞ!」
「ぷぷっおもしろ。
じゃあまたね〜処す女。」
『処す女って何私のあだ名?』
「処す女って処女っぽいよね〜」
『最低だーーーー!』
「もう嫌だこいつら…」
一目惚れだ何て言えない物だ。