鉢雷

□君
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私の机の中には
小さな箱がある
中には丸い石入っている
その石は私が川沿いで見つけた
周りの奴らには何の変哲もない石だ。
だが、私には多くの価値がある
これ以外のものは全て燃やされた
私達は忍びだ、生きている間も
死ぬときも痕跡を残してはいけない
それは、分かっている。
だが、これだけは手放せなかった
手放したくなかった。
雷蔵が最後まで大切にしていた宝物だから。
そういえば
雷蔵と私が出会ったのは
この、忍術学園に入学したばかりの頃だ
その頃から私は変装が得意だった
いつも、人の顔を借り生活していた
だから周りはきもちわるいと
いつも、私を遠ざけた
そんな中1人違う奴が居た
自分の顔を勝手に使われているのに
ヘラヘラと笑い、
いつも笑顔で怒ろうともしない奴が居た
それどころか、私の隣に来ては
「やっぱりそっくりだね、君は凄いや」
とわたしを褒めた
私は分からなかった
何故怒らないのか何故いつも隣にいるのか
ある日私は聞いてみた
「きみは私を気持ち悪いと思わないのか?」
「何故いつも隣にいるんだ」
そしたら君は意外な答えを言ってきた
「気持ち悪くないよ全然」
「君の事が羨ましかったんだよ変装上手だからさ」
わたしは声が出せなかった
驚いて?いや、多分嬉しかったんだと思うそのころの私には縁の無い話だと思っていたから。
それからというもの
私はいつも雷蔵の隣に居るようになった

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