Eclipse―episode 3―

□届かずに沈む、ため息
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あやの、震える体を

何とか支えて

飛行機に

乗せる


恐ろしい数の

着信履歴と

メール…


とてもひとりでは

帰せない

それでも、俺は

またすぐに

韓国へ、帰らなければならないんだ


午後からの取材を

明日に変更してもらうのが、やっとで

夜の仕事は…

どうしても抜けられない


こんな時に

自覚する

自分は、ファンの人に

生かされているんだと


求められてナンボの商売

勝手に休む事は

すなわち、その人たちを裏切る事


何があっても

例え、両親の最期に会えないとしても

それが

自分の選んだ道


だけど…


こんな事

嘘だろ?


虚ろな目で

何を写しているのかさえ

わからないようなあやを

ひとりになんて…


…できない
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