あの海で会おう

□迷路
1ページ/10ページ

ずっと、これが当たり前だった

だから

今の、この状況を

苦痛に感じる事なんて、ない


そう自分に言い聞かせ

納得したふりをする


あの日

―なかった事にしたい―

そう言って

本当に、何もなかったかのように

アイツは、振る舞っていた


何もなかったのなら

また、前のような関係に戻れるのか…

少しだけ、ほっとしている自分も、いる


だけど

以前のような関係というのは

イコール、この想いは

もう永遠に叶わない、という事だ


20年も続けてきた

片想いに

終止符を、打つ

そういう…事…


距離が離れたせいだろうか…

思いが、小さくなったというつもりはないが

ユナがいないという実感は

日に日に、強くなる


ただ

こんなに時間がたっても

ふとした時に、体中を包む

あの日のユナの温もり

唇の感触


俺…変態なのかな…?


だけど、初めて

自分の心と体がひとつになった瞬間だったのは

紛れもない、事実だ


ずっと、望んでいた

ユナだって


俺に、委ねてくれたじゃないか…
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ