戴きもの
□リリィ
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屑桐さん、
1週間後に、
引っ越すんだって。
なぁ、俺。
この現実にさ、
耐えられる?
リリィ
あと1週間でさ、
あの人いなくなっちゃうんだって。
俺を置いて、
どっか行くんだって。
俺は1人でさ、
屑桐さんも1人。
悲しさ、
どっちが重いかな。
「御柳!」
屑桐さんが俺の名前を叫んだ瞬間、俺の真横をボールがぬけた。
あ、今試合中だった。
結局ボールはレフトの奴がとりホームに投げられた。
しかしすでに遅く、2人もホームインしていた。
ボールがホーム着くと同時に試合は終了し、皆が俺の回りに集まって来た。
「おいミヤ!今日の失点、全部原因お前気!\(`o'")」
「どうしたんだぁ゛?」
皆質問してくるけど、ホントは理由なんか分かってるくせによ。
“屑桐さんがいなくなる”って事。
何で皆は平気でいられるんだろ。
今は野球どころじゃねぇのに。
「御柳。」
「…なんすか。」
「…部室に残れ。」
屑桐さんがいつも言ってるこの台詞。
今日だけ悲しそうに聞こえた。