戴きもの

□リリィ
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「あっあのそのすみません屑桐さんだなんて気付かなくて。」
「別に構わん。それより何で学校に来ない。」
「だって…。」

「昨日、野球部で送別会があったのだがな。」

あー!!
そーゆーの、やるって言ってたっけ…。
うわ俺馬鹿じゃん。
最後の会にも出ないなんて…、最低。

「ところで今日は暇か?」
「…学校は行きたくないッス。」

「いや、ただ散歩をしたいと思っただけだ。」
「いいッスよ。」

俺は急いで着替えに行った。

「実は、な。」

着替えてる俺に聞こえるように屑桐さんは言った。

「都合があって、今日の終電に乗る事になった。」

「はぁー?!」

俺ははきかけのズボンを落とした。

「え、じゃぁ、明日はもういない訳?!」
「…とりあえず何かはけ。」

そう言いながら屑桐さんは笑っている。

「…寂しくないの?」
「何がだ?」
「俺に会えなくなる事。」
「もちろん、寂しく思うぞ。」
「…じゃぁ何で笑ってんの?」

「愛しいからだ。」

「愛しい?何が?」
「もういい、早くしろ。」

何が愛しいんだろ。
…俺?
だったら嬉しいな。


 
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