戴きもの

□リリィ
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それから俺と屑桐さんは、散歩とか言いながらいろんな所を歩き回った。

屑桐さんとプリクラ3回も撮ったし、屑桐さんとオソロイの人形取ったし、ゲーセンのゲームやりまくったし、オソロイの指輪買ったし、漫喫行ったし、Macで一緒に昼ご飯食ったし、使い捨てカメラのフィルムが切れるまで2人で写真撮ったし、公園で肩を寄せ合いながら一緒に喋った。

「よし、もーこれで屑桐さんの事絶対忘れない。」
「こーでもしないと忘れるのか?」
「いや、ここまでしておけば一生モンじゃん。」

屑桐さんはまた笑った。
…なんか今日屑桐さん笑いすぎ。
可愛いからいいんだけど、調子狂うよな。

たぶん屑桐さん、学校でも今みたいに笑顔だったらきっと、モテモテだったんだろーな。

「屑桐さんもったいねぇー。」
「何の事だ。」

あーでも屑桐さんがモテたら俺が困るや。

「やっぱもったいなくなかった。」
「訳がわからん。」

でもやっぱりどっちの屑桐さんでも好きだ。



時が経つのは早く、気がつけばもう駅のホームに座っていた。
まだ余裕があるけど、最後は静かに喋ってたいし。
俺の右手は屑桐さんの左手をちゃんと持っている。

「甲子園、かぁー。」

屑桐さんと一緒に行けないんだっけ。

「屑桐さんはやっぱ甲子園行きたい?」
「当たり前だろう。」

屑桐さんは少し悲しそうだった。
あ、俺変な事言っちゃった。

「あー…、すみません。」
「構わん。」
「でもなー、屑桐さんいないとやる気失せちゃうー。」
「…すまん。」
「何それ、屑桐さん可愛ー。」

謝るなんて、屑桐さんらしくないなぁ。
でもやっぱ素直な屑桐さんはいいと思う。
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