ツクリバナシ

□ヒトバシラ
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 建物が崩壊する激しい音が轟き、爆煙渦巻く中を動く、人影が2つ。
 「さぁ、ここはこれでいいわ。…坊やを安全な処へご案内して。弟くん達が来てるわ」
色欲の女・ラストが促すと、嫉妬の男・エンウ゛ィーは、にやりと笑って答える。
 「わぁーかってるって。でもさぁ、ちょっと試してみない?このおチビさんが、ほんとに人柱に値するかどうか、さ。この程度のケガでくたばられちゃ、人柱は務まらないじゃん?放っといてみよっか?」
ラストは小さくため息をつき、言葉を紡いだ。
 「…余計なことよ。先に行ってるから、早いとこ渡してくるのよ。さっさとしないと、あなたが嫌いな、ケガをするわよ」
はいはい、と面倒くさそうにエンウ゛ィーが手を振っている間に、ラストは煙の中へ姿を消した。
 「さてと…」
先ほど自らが膝蹴りを喰らわせ、横たわっている少年を見下ろし、エンウ゛ィーは少し表情を硬くした。
 「エドワード・エルリック…」
少年の名をフルネームで呟き、ゆっくりと傍らに腰を下ろす。
 「誰が人柱になろうが知ったことじゃないんだよ…。少なくとも、僕にとってはね。けど…」
ふとエンウ゛ィーの目が鋭くなる。
 「あんたには、それなりの価値があるらしいね?ラストはあぁ言ってたけど、ほんとは試してみたいんだよね…」
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