◆ユリスマ本棚 1
□GAME(★2)
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「何故笑う…」
ユーリは、ようやく平常心を取り戻したようだった。
と、その唇は、今度はスマイルの方からふさがれた。
挨拶のような、軽いキス。
「なんで笑うって?」
スマイルは、パッと消えた。
次にユーリの瞳に映ったのは、宙を舞う、茶色のコート…。
そして、スルスルと伸びる白い包帯。
「…ゲームだからさ」
ユーリは、背中に手を回す、スマイルの細い腕の感触を感じた。
見えない身体を抱きしめると、スマイルはようやく姿を現した。
…と言っても、身体はもう見えないのだが。
「フッ…バカにしおって…」
ユーリが呆れ半分に口づけると、スマイルはその身体をユーリに押し付けるように、抱きついた。
「ホントは、なんの日だって構わないんだ。」
ユーリのリボンタイをやさしくほどくと、スマイルは笑った。
甘い時間の訪れ…
…とユーリが思った瞬間!
ものすごい速さでユーリの腕をかわし、コートと包帯をひっつかむと、スマイルは風のように去っていった。
「イタズラが成功すればね〜!!!!ヒッヒッヒッ!!」
──なんの日でも構わないんだ。
──イタズラが成功すれば…。
「やられた…」
ユーリは、やり場のない腕を、ガックリと落とした。