小説
□やっぱり居た。
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土手は、私の思い出の場所。
失恋した時や、友達と喧嘩した時
親に叱られた時なんかに来た。
姉や兄もちろん妹や弟なんかは居ないから、
1人、夜遅くに来たりしてた。
そのたび、迎えに来てくれたのは
「愛里、帰るよ。」
翔くんだった。
優しい笑顔で手を差し伸べて、
危ないよって言ってくれる。
「…帰りたくない」
「だーめ。
おばさん達、心配してるよ」
翔くんとは親同士が仲良くて、
必然的に私達も仲良くなって
今じゃ高校まで一緒。
幼馴染みだからと、
何かと一緒に居た私達だけど
気づいちゃったんだ、私。
「…もう私のことはほっといてよ…」
翔くんが好きなんだって。