SERVAMP

□独占欲
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無理だと思っていた。



絶対にできっこないと。

















御国はそくせきのテーブルとイスを用意して優雅に城田真昼と千駄ヶ谷鉄の様子を眺めていた。



御国がジェジェの素顔を暴けと言ってから10分くらいは経っただろうか。



鉄も真昼も運動能力は悪くないようだ。



特に鉄はリードもきちんと使いこなせている。



真昼はまだまだこれからといったところだが、素質が悪くないから今後一気に化けるだろう。



御国は2人の様子に安堵しながら紅茶をすすった。




その時、鉄が後方に大きく跳び上がった。




何かの技を披露するのだろうかと御国は食い入るように鉄を見つめた。



地面に着地した鉄は、リードである棺桶からコウモリのような幻影とともに嵐のような暴風を巻き起こした。


 
ジェジェが被っている紙袋はいとも簡単に風にのって飛んでいく。



瞬間、御国は走っていた。



ジェジェの上に跳び乗り、自らの帽子でジェジェの顔を隠す。



「そんな大振りの技じゃあジェジェのお顔は披露できないかな?」



御国はケタケタと笑いながら言った。



だが、御国本当の理由はそうじゃなかった。



ジェジェは強い。



だから袋を取られることは絶対にないだろうと御国はふんでいた。



本当は始めから御国はジェジェの顔を披露する気などさらさらなかったのだ。



ジェジェの素顔を知っているのは自分だけで充分だ。



自分以外の人間がジェジェの顔を見るなんてあり得ない。



それは普段あまり感情が掴めない御国の不器用な愛情表現であった。



他人から見ればいつもの御国となんら変わりはない。



勝敗をうやむやにされたような複雑な心境だが、相手が御国ならばそんな事もあるだろうという程度である。



だが、御国に近しいジェジェには何かが伝わったのだろうか、



御国を降ろすと、聞こえるか聞こえないかの声で「大丈夫だ」と確かに言った。



御国はそれを聞いて驚いたような表情をした後、小さく笑った。



が、すぐに



「んー?なになに?ははっ、大丈夫だよ。俺はアベルが1番好きだよ。アベルは心配症だなー」



と、いつもの様に飄々とした態度で人形に話しかけた。



この時御国の顔がいつもよりほんの少し紅潮していたのはアベルしか知らない。





end.
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