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□不幸人と骨董品屋
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ここは中立機関『C3』本部。



その一室で露木修平は苛立ったようなため息をついていた。





「全くあなたは・・一体何しに来たんですか?御国先輩。」



「えー、用がないと来ちゃダメなわけ?」




「当たり前です!僕だって仕事中なんですよ!?」



露木の怒りの原因は、高校の先輩である有栖院御国である。



「大きい声だすなよ修平。アベルがビックリするだろ?・・ねーアベル。」



御国は相変わらず掴めない態度で人形であるアベルに話しかけている。



「はやく帰ってください!俺も暇じゃないんですよ。」



「冷たいな、修平は。」



御国がへらへらと笑いながら言う。




「仕方ないね。今日のところはこの辺で帰ってあげるよ。」



「え?」



いつもならしつこく滞在する御国が、こうもあっさり引き下がるのを見て露木は一瞬焦ったような声を出した。




「何?もっといてほしい?」




「そんなわけないじゃないですか。早くお引き取りください。」




御国は素直じゃないなーなどとクツクツ笑いながら部屋から出ていった。







一人になった部屋で修平はぐったりと椅子に座りこんだ。




(何故あの人とちょっと話すだけでこんなに疲れるんだろう。
御国先輩に関しては何を準備していてもダメだ。)



修平は頭の中で葛藤しながらうめいた。




(まあ今日みたいにすぐ帰ってくれるならいいが・・
・・・・ん?
あの人今帰る家なんてあるのか?
というか今は大人だし家くらいあるかもしれないけど、昔はどうしてたんだろう。
あの人家出たの高校生の時だよな?)



ひとつの疑問にたどりついた修平は、なんとなく触れてはいけないような気がして考えるのを止めた。



何気なくふとさっきまで御国が座っていた椅子に目をやると、椅子の上にいつも御国が被っている帽子がおいてあった。




「・・忘れ物、ですか。」




修平はそう呟くと立ち上がった。



今なら御国もまだ近くにいるだろうし、何より次回取りに来られるのも面倒くさい。





露木は帽子を手に取ると、C3内を走った。



































































「御国先輩!」




御国はC3を出てすぐの駅の改札近くにいた。




無事見つけることができ、露木は安堵する。



まあ、ここに来るまでの間に3度ほど転んではいるのだが。



「修平ー?どしたの?」



「コレ、忘れ物ですよ。」




露木は御国の前に帽子を差し出した。



「あー、持ってきちゃったの?」



「は?どういうことですか?」




じとっと見つめる露木に御国は白々しく口笛を吹く。




「まさかわざと置いていったんですか?」




「んー、まあそうなるね。」




「なんでそんなことしたんですか?」



悪びれた様子もなく言う御国に露木が詰め寄る。



「修平が用がないなら来るなって言ったんだろ?」




「・・・・もしかしてC3に来る口実のつもりだったんですか?」




「うん。」




露木は訳が分からないといったような表情を浮かべた。




御国は本当に掴めない。


 
「どうしてそこまでしてC3に来たがるんですか?」




「それは・・」



「あれ?もしかして御国?」




御国の言葉は何者かによって遮られた。



「あれ、鈴木さん。久しぶりだね。」




声の主は修平にとって全く見覚えのない人だった。



吸血鬼関係の人なら修平はきちんと頭に入れているし、同じ高校の人なら、それこそ見たことくらいはあるだろう。



修平の記憶にないと言うことは、この鈴木という人物は御国のプライベートな知りあいなのだろうか。
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