黒子のバスケ

□今日は黄瀬くんの誕生日らしいので
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「黄瀬!これどうにかしろ!」



「そんなこと言ったって無理ッスよー!」




海常高校第一体育館。



現在この場では、扉の外と中で戦いが繰り広げられていた。




原因は黄色の少年。



今日は彼の誕生日なのだ。



それを祝おうと、外にはたくさんの女子が体育館へ押し入ろうと参列している。



大量の女子が流れ込んで来たら、練習できなくなるとふんだ海常バスケ部員達は、現在扉を死守しているのだ。




「黄瀬、この中の女子、1人だけでいいから紹介してくれ。」




「も(り)山先輩!今はそんなこと言って(る)場合じゃあ(り)ませんよ!!」




「黄瀬!もうお前この群れん中つっこめ!」




「えー、キャプテン!見捨てないでくださいよー!」



「知るか!誰のせいでこんなことになってると思ってんだ!」



「でも!」



「だいたい!こいつらみんなお前を祝おうとしてんだよ!取って食われることなんざねぇよ!」




笠松はそう言うと、扉を開け、黄瀬を外へ蹴り出した。



「うわー、キャプテン!!」



「この女達から逃げろ!それで今日の練習は勘弁してやる!」




「そ、そんなぁー!」




黄瀬は、迫り来る女子の群れからなすすべなく逃げまわるのだった。















































「はー、ひどいめにあったッス・・」



事件から約4時間後、黄瀬はヘロヘロになりながらも無事生還した。




「よし、おつかれ。ホラ、これやるよ。」




「え?」



渡されたものは新品の新しいバスケットボールだった。



「『海常高校バスケ部員』からだ。誕生日おめでとう。」



と、笠松に続き、バスケ部全員が黄瀬に祝いの言葉を送った。


「み、みんなぁ・・」




「と、あとこれも。」




涙ぐんでいる黄瀬に森山がラッピングされた小さな箱を渡した。



「・・これは?」



「黒子からだ。」



「え、黒子っち!?」




森山の言葉に黄瀬が目を剥いた。



「ちょっと前に来てな。お前がいないなら渡しといてくれってたのまれたんだ。」




「うそ、最悪!黒子っちに会いそびれた!」




「まあ、さっき来たばっかだから今なら駅にいるかもな。」



嘆いている黄瀬に呆れながら笠松が言う。



「!じゃ、じゃあ俺行ってくるッス!」



黄瀬は体育館から出て行こうと立ち上がった。




瞬間、



「あのー、」



と、扉から声が聞こえた。




全員が振り返ると、そこには黒子がいた。




「すみません、忘れ物しちゃって・・」




「く、黒子っちぃぃ〜!」




黄瀬が感極まったように黒子に近寄った。




「あ、どうも黄瀬くん。お誕生日おめでとうございます。」



「ありがとッス黒子っち!あ、そうそうプレゼントさっきもらったッスよ。開けていいッスか?」




「どうぞ。」




黄瀬が箱を開けると、そこにはかっこいい銀のネックレスがあった。




「黒子っち、コレって・・」



「前雑誌見て欲しいって言ってましたよね?もしかしてもう買ってましたか?」 




「いや、持ってないッスよ黒子っち!ありがとう!」



「いえ。」



「愛してるッスよ黒子っち!」



「はい。僕もです。」




「・・・・・え?」



いつもと変わらない調子で黒子が言うので、黄瀬は思わず固まった。



黒子的には誕生日くらい素直になってやろうと思ってのことだったのだが。




失敗だったかと黒子は後悔した。



なにより黄瀬のうしろの空気が重い。




そりゃあこんなものを見せられてはげんなりとなるだろう。




「く、くくく黒子っち!今のは反則ッスよ!かわいすぎッス!」



黄瀬は後ろの部員も気にせず、黒子にキスを送った。




黄瀬の後ろで部員がバタバタと倒れていった。




その後、笠松に調子乗るなと殴られ、黒子にはしばらく無視され誕生日に散々な黄瀬なのでした (笑)




end.
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