SERVAMP

□手品師と嘘吐き
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「・・嫉妬、」



「嫉妬!?やっぱりサーヴァンプなんじゃ・・」



「の下位吸血鬼。」



「はァ!?下位吸血鬼?」



ベルキアは下位吸血鬼ごときに桜哉がここまでやられたのか目を丸くする。



「その嫉妬の下位吸血鬼、そんなに強かったのォ?」



「いや、普通の、下位吸血鬼だ。証拠、に・・こんな状態になっても、倒せたし。」



まだ苦しいのか途切れ途切れになって話す。



「じゃア、なんでこんなにボロボロになったの。」



「・・」



桜哉はまた唇を噛み締めた。



目には涙が浮かんでいる。



ベルキアはそんな桜哉の様子を見て、優しく彼の頭を撫でた。



桜哉は最近、嘘を吐くと必ず涙を流す。



その嘘がどんなに小さいものであろうとも。



それほどまでに彼の精神は弱ってしまっているのだ。



今日の怪我の原因はおそらく、ひょんなことで嘘を吐いてしまったことから敵の反応に遅れたのだろうとベルキアは推測した。




ベルキアは無言で涙をポロポロと流す桜哉にキスを送った。



「・・なんだよ急に。」



「いいじゃん別に〜♪」



ベルキアは桜哉の頬の傷をペロリと舐めた。



「っ・・痛い。」



「だって桜哉の血おいしーから〜」



言いながら、首筋や腕などの傷口にどんどん舌を這わせていく。



「それを共食いっつーんだよ。」



「桜哉ならボク、平気で全部食べちゃうよォ♪」



「このド変態!」



一見ふざけたような態度のベルキアだが、すべては桜哉の気が紛れるようにと思ってのことだった。



桜哉はそれをわかっているのか、抵抗の素振りをみせることはなかった。






「ねェ、桜哉ー」



一通り舐めおえるとベルキアは口を離し言った。



「これから出掛ける時はいつもボクがついていくよォ」



「は?いや、遠慮する。」



「別に照れなくてもいいよォ。もうボク決めちゃったし〜」



「でもお前は椿さんが・・!」



言って桜哉は顔を背けた。



桜哉はよく自分と椿を比べる。



下位吸血鬼は自分達を作ったサーヴァンプに服従する。



桜哉達も例外ではなく、自分達を作った椿には服従し、尊敬すらもしている。



そんな絶対的主従関係はわかっていることなのに桜哉は椿に嫉妬してしまうのだ。



「いつも言ってるだろ〜。つばきゅんは大事だけど桜哉はつばきゅんとは違う大事だって!」



「けど・・」



「はァー、仕方ないなァ。」



ベルキアはそういうと、ポンッと手品で何もないところから一本の花を出現させた。



「はい桜哉、これあげる♪」



「・・・?」



桜哉は意味がわからないと言う様子で花を受けとる。



「その花が枯れるまでの間だけ、ボクはつばきゅんよりも誰よりも桜哉を一番大切にするよォ。」



「・・!」



その時、玄関の方からガチャリと扉の開く音が聞こえた。



気配からしてシャムロックと椿だろうとベルキアは悟った。



「つばきゅん達帰ってきたみたいだねェ。ボクちょっと呼んでくるよォ。」



そう言ってベルキアは立ち上がった。



「あ、それとボクはお前と違って嘘吐かないんだからなァ!わかったら枯らさないように手入れするんだぞォ」



と言ってベルキアは部屋から出ていった。



驚きで言葉を失っていた桜哉は一人になった部屋でベルキアからもらった花を握りしめた。



桜哉の目からはさっきとは違った涙がボロボロと溢れおちている。



「・・これ、枯れねぇじゃん・・」



そう呟いた桜哉が握っていた花は、人の手によって造られた造花だった。









end.
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