黒子のバスケ

□事件目撃は恋の始まり
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「な、なんだよお前!」



「関係ねぇ奴はすっこんでろよ。」




しゃあしゃあと言う男達に怯みもせず、木吉は真顔で口を開いた。




「花宮から離れろ。」




「はぁ!?てめー何言って・・」



「もう一度言う。花宮から離れろ。」




木吉の声は至って穏やかだった。



それが逆に男達に恐怖を与えた。




花宮も例外ではない。



「おい、こいつって無冠の五将の・・」



「くそ、とりあえず引くぞ。」



男達は木吉の謎の圧力に耐えきれず、その場から走って行ってしまった。




「大丈夫か、花宮?」



驚いて終始無言だった花宮は木吉によって伸べられた手を見てハッとした。




「余計なことしてんじゃねぇよ!」




花宮は木吉の手を払い除けると、サッと自分の衣服を整えた。



「けど花宮、今・・」



「うるせぇ、お前には関係ねぇだろ。」




花宮は素っ気なく言い放つと、裏路地をそのまま抜けて行ってしまった。



正直助かったと花宮は心で思っていたが、素直に礼が言えないのは相手が木吉だからである。















































次の日。




練習後、花宮は監督としての仕事があり、他の部員よりも遅くまで残っていた。




もう少しで仕事も終わるという頃、花宮の携帯が鳴った。



相手は原一哉だった。



「はい。」



『もしもし、花宮〜?』



「ああ。なんだ。」




『あのさァ、さっき校門の前に木吉がいてさ』




「木吉!?」




『うん。「花宮はまだ中にいるのか?」って聞かれたから一応いるって答えたんだけど、何かあったの〜?』



何かあったのかと原に聞かれ、昨日のことを思いだし花宮の体が強ばった。




「別になんもねぇよ。」



『ならいいけど。とにかく俺は伝えたからねん。』



「おう、わかった。」




花宮はそう言って通話を終了した。




普段ならば、木吉が来てるなど信じられる話ではないが、昨日の今日だ。



何か言いたいことでもあるのだろうと花宮は納得した。





監督としての仕事も終わり、少し憂鬱になりながらも花宮は帰宅することにした。





部室から出ると、校門はすぐに見え、そこに立っている圧倒的な存在感に花宮はため息をついた。
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