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突然だが、運命と言うものを信じるだろうか。
俺は信じている。
自分の人生に起こること全ては、初めから決められていてその決められたレールの上を俺らは走っていると、そう思ってる。
電車が脱線したら大変なことになるのと同じで、生きるためには運命からは逃れられない。
そう。
運命は決まっている。
つまり。
「テスト嫌だ」
学生である宿命…テストからも逃れられない。
とある日の昼休み。いつものところでいつものメンバーの泉と徹と俺の三人でご飯を食べているとき、俺はぽつりと呟いた。
二人はそんな俺を見て。
「愛積勉強苦手なの?」
徹が可愛らしく首をかしげて聞いてくる。
「苦手って言うか……俺が今まで授業に出た日数、知ってる?ここに来てからはちゃんと授業出てるけど前の学校では1から6限まで出たのは二年間で9回だよ?まず基礎がなってないって…」
言い終わって大きな溜め息を吐く。
すると泉は弁当の卵焼きを食べながら言う。
「お前の売りは“容姿端麗、頭脳明晰”だろ。どうした」
「それはマスコミが勝手に言ってることだよ」
また一つ、大きな溜め息。
すると徹は突然キラキラの王子さまみたいな完璧な笑顔で。
「じゃあさ、俺が勉強教えてあげるよ」
「徹が?勉強できるの?」
「ちょっ!?こう見えても勉強は出来る方だよ!ねぇ岩ちゃん!?」
「クソ川だけじゃ不安だろーし俺も教えようか?」
「本当?わぁい助かる!ありがとー泉!」
徹をいじるのが面白くてあえて泉とだけ仲良くすると徹が拗ねた。
そのあと何とか徹の機嫌をとって。
テスト期間の一週間は朝練があっても放課後の練習はない。
だからその放課後に俺の家で勉強会と決まった。
勉強会するなんて初めてだ、とはしゃぐと泉に遊びじゃねぇんだぞと怒られる。
それにてへっ、と可愛こぶって笑うと呆れた溜め息が返ってきた。
早く学校が終わらないかな。
「「お邪魔します」」
「どーぞー」
礼儀正しく挨拶をして玄関のドアをくぐる泉と徹にスリッパを出しながら笑いかける。
家に友達を連れてきたのも初めてだ…!
嬉しくて思わず頬が緩む。
徹はキョロキョロと家の中を見回して。
「随分広い家だね。これで一人暮らしってすごい」
「え?そう?狭くね?東京の家の10分の1もないよ、ここ」
「ヤメロ及川。アイドルに常識は通用しない」
「そ、そうだね…」
その俺が世間知らずみたいな扱いやめて!?
もう早く部屋に行こうか!
俺は二人を連れて二階の自室に行く。
「ここ、俺の部屋だから好きにしてて。飲み物とか持ってくる」
そう告げて一階に下りて冷蔵庫からオロナ●ンCの6本入りのパックを取り出して、それから適当なお菓子を持って部屋に戻る。
「お待たせー。はい、オ●ナミンC」
パックごと二人に差し出すと泉は顔をしかめる。
「何でオロナミ●Cだよ」
「この間CMのオファー受けたら大量に送られてきた。まだ段ボール三つ分あるから帰りも持って帰ってよ」
にこりと笑顔で言うと二人は何とも言えないような顔になって。
何だ言いたいことがあるなら言えよばか。
それはそうと勉強会を始める。
「愛積は何が苦手なの?」
徹に聞かれて少し考える。
「えーっと…現代文と数学と科学と日本史と英語かな」
「全教科だね!」
「逆に何が得意なんだよ」
次に泉に聞かれて元気よく答える。
「一番は音楽かな!ギターとドラムとサックスとあとピアノとトランペットも出来るよ!他は美術とか体育とか」
「見事に実技教科だな」
「さすがアイドルだね」
そんな会話をして、とりあえず現代文からすることになった。
「現文は大まかに読解問題と暗記問題があるけどどっちの方が苦手?」
「えー…どっちもどっちだな」
ふむ、と考えてから言うと徹は苦笑い。泉は呆れ顔をして。
「じゃあ…一からやるか」
泉の溜め息混じりの台詞が部屋に響いた。