大声で魔法の言葉を、

□magic×6
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クロに電話で隣の家に住む研磨を呼んでもらった。

ダルそうにドアを開けてクロに文句を言おうとする研磨は俺を見付けた途端抱きついてきて。

「空絵」

「うん」

「空絵」

「はい」

「空絵…」

「なに」

「会いたかった…」

そう言って拗ねたように俺の肩口にぐりぐりと額を押し付ける研磨の頭を撫でて俺は苦笑する。

「俺も会いたかったよ」

そう言えば研磨は完全に拗ねた口調で少し怒ったように聞いてくる。

「空絵今日学校は?」

「朝のHRだけ出てサボって来ちゃった」

「何で今日来たの」

「え?来てほしくなかった?」

「違う!そうじゃなくて…」

「あぁ、やっと休学が終わったから」

「休学…?してたの?」

研磨が俺の肩口から顔を上げてクロも俺を見つめる。

「ん」

短く返事をすれば今度はクロに聞かれる。

「何で連絡取れなかったんだよ」

それに俺は困ったように眉を下げて笑って。

「俺のいた病院、機械の持ち込み不可なんだ」

「病院?どうしたの空絵怪我したの?」

途端に慌て出す研磨の頭を撫でて俺は少しうつむいて。

「高校に入学してすぐに入院してたんだ。先週までずっと」

心配かけてごめんね、と二人の手を握るとぎゅっと握り返される。

「それで先週から昨日まで自宅療養で今日から学校だったけど二人に会いたくなっちゃって」

すると二人は不機嫌そうに眉間にシワを寄せて。

そこへクロのお母さんがご飯だと呼びに来て久し振りに三人でテーブルについた。














「お前今日どうすんだ」

もう少しで食べ終わるというときにクロに聞かれて俺は当たり前のように首をかしげる。

「え?俺どっちかの家に泊まるつもりで来たんだけど」

駄目?と、二人を見上げる。

そして少しの沈黙の後。

「俺の家においでよ」

と、研磨。

「ここに泊まれ」

と、クロ。

えーっと、

「どうしようかな」

ご飯を食べながら迷う素振りを見せるとやっぱり二人とも家に泊まれと言って引く様子も無く俺は喧嘩の一歩手前の二人に困った笑顔を向けて。

「じゃあ今日はクロの家で研磨もお泊まり会しようよ」

すると首を縦に振って研磨は即答した。

「うん」

俺は久し振りに見る幼馴染みを眺めて目を細めた。

すごく懐かしくて、二人とも優しくて。




大好きで胸が苦しいよ。

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