大声で魔法の言葉を、

□magic×13
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〜及川side〜

空絵とデート(?)をした次の次の日の火曜、授業が終わって部活に行くといつもより体育館が騒がしかった。

「なにこれ」

一緒に来た岩ちゃんに首をかしげて聞くと素っ気なく、

「知らん」

と言い返される。

バレーのシューズに履き替えてみんなのところに行くと待ってましたと言わんばかりにマッキーに捕まった。

「なぁお前日曜すげぇ美形とデートしてたって本当か?」

「は?」

何でバレてるの?

そう思いつつこくりと頷くとマッキーが面白そうな顔で一冊の雑誌のとあるページを突き付けてくる。

「ソレってこいつ?」

そのページを見て俺は固まる。

それから急いでマッキーからその雑誌を奪い取ってさらに近くで文書を読む。

そんな俺をお構いなしにマッキーは続けて、

「同じクラスのバスケ部の奴がさ、『何であの原沢さんが宮城なんかに、しかも及川と一緒にいるんだ』って騒いでてその雑誌押し付けられた」

岩ちゃんも俺の隣に来て俺が見ているページを覗き込む。

「えらい美人だな」

その言葉に自慢気に

「でしょ」

と返す。

いやいやいや。そんなことより。

なにこれ。

そのページには空絵は天才バスケプレイヤーと称賛されていて、今年も全中は空絵の活躍で優勝し三連覇達成やら、よく分からないけど大きな大会でも空絵の圧倒的な実力で優勝やら、他にも空絵のプライベートインタビューや、空絵の趣味の料理特集などバスケに関係無い事もとりあえず空絵の事ばかり載っている。

俺は空絵のプライベートインタビューのところをガン見する。

『休日は何をしていますか?』
――幼馴染みにお菓子を作ってやってます。アップルパイが好きな奴で(笑)

『趣味は料理との事ですが特に得意なものはなんですか?』
――大体出来ますけど最近はお菓子作りに凝ってます。マカロン作るの楽しいですよ

『好きな色は何色ですか?』
――赤が好きですね…あ、あと黒

『好きな食べ物はなんですか?』
――グミです!この間発売されたキウイのグミがすごくおいしくて!

『料理以外に趣味はありますか?』
――スイーツ店巡りです!

『本当にお菓子が好きなんですね』
――はい(笑)ケーキバイキングとかよく行きます(笑)

『原沢さんのかっこよさの秘訣は?』
――(笑)俺、かっこよくないですよ(笑)

『謙虚ですね』
――事実ですし(笑)あ、でも肌の色が白いのは遺伝ですね。父親がアメリカ人なんです

『彼女はいますか?』
――いません。女の子って何考えてるか分からなくて(笑)

『好きなタイプはどんな人ですか?』
――無難に優しい人…ですかね?正直そういうの考えたことありません。あ、でも可愛い人よりカッコいい人がいいな

『今後の目標は?』
――高校入学までにレーンアップが出来るようになりたいです!


読み終わって俺は隣にいる岩ちゃんを見つめる。

「ねぇ岩ちゃん」

「何だ」

「俺って優しいしカッコいいよね?」

「は?」

つまり。

「俺は空絵の好きな人のタイプにぴったりだよ!日曜はデートもしたしコレって脈あり!?」

すると岩ちゃんは一瞬にして北極のような冷たい目で俺を見た。

「何言ってんだついに頭でも沸いたか」

「岩ちゃんひどい!」

それにしても…好きな色は赤と黒。好きな食べ物はグミ。趣味は料理でスイーツ店巡りか。

覚えた。

今度ケーキバイキングに誘おう。

空絵の事を知れて嬉しくてるんるん鼻歌を歌ってスキップをする。

岩ちゃんに真面目にやれと怒られたけど好きな人の事が知れて嬉しくない人なんていない。

でも部活終わり間際、とうとう後頭部にボールをぶち込まれて俺は笑顔のまま体育館の床に倒れた。

それにしても、雑誌の写真の空絵。今より少しだけ童顔で髪が短くてしかもバスケのユニフォーム着てて本当に美人さんだしかっこよかったなぁ。

あの雑誌誰のだろう。

後で買い取ろう。

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