幻想少年創生録

□晴れ時々スキマ
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某中学校
「ふー・・・」
どうやら全部当たったみたいだな。
さてと、矢の回収に行きますか。
少年はとある中学校の弓道場にいた。
現在の時刻は午後六時。
パンザマストが鳴ったのが五時半過ぎなので、本来なら三十分前に少年は帰宅するべきだった。
だが、大会が近づいていることもあり、少年は自主的に練習したいと顧問に頼み込み、一人で居残って練習をしている。
そろそろ帰ろうかな。
少年は着替えようと、袴へと手を伸ばした。
・・・?
ふと袴へ伸ばした手を止める。
それは少年の後ろから気配がしたためである。
誰だろう・・・?先生かな?
背後に顔を向ける。
しかし、そこにいたのは教師でも、生徒でもなかった。
「え・・・」
そこにいたのは、とても奇怪な格好をした女性だった。
普通は「どなたですか?」と声をかけるべきなのだが、少年は本能的にこう問いかけた。
「あなた・・・一体何者ですか・・・!?」
少年は女性から何かを感じ取ったようで、女性への警戒を強めた。
「流石はアダムの生まれ変わり。勘がするどいのね」
「は・・・い・・・?」
アダム?旧約聖書とかの?
この人は一体何を言っているんだ・・・?
「あの、えと・・・何の話?」
「説明の前に天気予報を発表しまーす」
「ちょ、ちょっと!ふざけないでよ!」
「今日の天気は晴れ時々スキマでーす」
「ス、スキマ?一体なにぃぃぃぃぃぃっ!?」
少年の足元に謎の亀裂が現れ、少年は亀裂へと落ちていった。
「幻想郷へごあんな〜い」
女性はふざけたようにそう言うと、少年が落ちていった亀裂に自分も入ってきた。
そこで少年の意識は途絶えた―
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