幻想少年創生録

□平野のアルバイトin幻想郷
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その後、少年はイヴを連れ、再び幻想郷を訪れ、八雲家へと足を運んだ。
「こんばんはー!紫、来たよー!」
「あぁ!陽炎!」
何者かが近くの部屋から飛び出て、少年に抱きついた。
「ストライクッ!」
それも鳩尾の部分に頭があたるような姿勢で。
「こ、こんばんは『橙』・・・久しぶり、だね」
「うん!・・・なんで悶えてるの?」
「まぁ、ちょっと・・・あれ?橙がここにいるの珍しいね」
「うん。私も思ってた。何の用事だろう?」
「ということは、藍か紫に呼ばれたの?」
「うん、藍様に呼ばれたの」
「へぇー。じゃあ、俺の件とは違う話なのかな」
「なんで?」
「俺は紫に呼ばれてきたんだ」
「そうだったんだ・・・ところで、後ろの女の人は?」
「この子はスタータ。俺の友人」
「よろしく橙ちゃん!(はぁはぁ」
「来ないで!」
橙は本能で危険だと感じ取ったのか、イヴからかなり距離をとった。
「なんでぇ・・・?」
「その変態みたいな言動と行動のせいだよ・・・」
「ただい・・・ん?何故イヴがいるんだ?」
「こんばんは藍。実はねイヴも幻想郷に住んで、力の補充を手伝ってくれるんだって」
「それは本当かしら?」
突然玄関の近くに現れたスキマから出ながら紫が問いかけた。
「うん、まぁ、そうだよ」
「・・・(チッ」
「舌打ち!?」
「こんばんは紫」
「こんばんは陽炎」
「明らかに私に接する時の態度が公平じゃないよ!」
「うるさいぞ」
「先生まで!?」
「え、えーと、話って何?」
「あるばいと、してみない?」
「あ・・・アルバイト?」
「あら、違ったかしら?なんて言うのかしら・・・」
「ううん、意味はあってるんだ、と思う。ただ、なんでそんな話を俺に持ちかけたの?」
「原因はこれよ」
そう言って紫が少年に手渡したのは、計画書の束だった。
厚さはノート一冊文くらいだろうか。
「これは?」
「『万屋創生神』の立ち上げの計画書よ」
「・・・いや、なんで?それに、万・・・何?」
「万屋創生神。あなた、この世界でのお金ないでしょ?」
「そうだけど・・・お金を稼ぐ為だけにやる訳じゃないよね?この計画は」
「えぇ。最近、咎人の封印が本格的にとけそうなの。だから、今のうちに人脈を広げて、咎人が出現した際、瞬時に動けるようにしておこうと思ったのよ。どうかしら?」
「いいと思うよ。凄いね紫。こんな計画思いつくなんて。けどさ、従業員は俺だけなの?」
「いいえ。今家で寝転がっている霊夢も従業員よ。一応ね」
「2人だけ?」
「そうよ」
「・・・難しくないかなぁ?幻想郷ってただでさえ広いし、それに幻想郷につながっている別の場所から依頼がきたらどうするの?」
「根性で乗り切りなさい」
「・・・なん、だと?」
「そういうネタいいから」
「スタータ、君も入ってくれないか?」
「いいよ」
「即決!?」
「だって、私まだ部活決まってないし、暇だし、ね」
「ありがとうイヴ。できればいないほうが良かったのだけれど。スキマに幽閉しようかしら・・・?」
「さらっと恐ろしいことを言わないで!」
「じゃ、じゃあ必要な物を確認しよう。必要なのは支店と、人材。人材は今のところはこのままでいいかな。後は・・・宣伝費だね」
少年は計画書の内容を見て現在するべきことを確認した。
「宣伝費は今から稼げばいいわ」
「え?どうやって?」
「実は、もう既に依頼を一件預かっているのよ」
「え?本当?」
「えぇ」
「内容は?」
「私の友人のところの庭師が風邪をひいてしまったの。代理の庭師と、庭師を看病する人が必要みたい。できれば格安がいいと言っているし、派遣するのは一人でいいんじゃないかしら?期間は風邪が治るまでらしいわ」
「じゃあ俺が行くよ」
「私が行くよ」
「大丈夫。イヴはまだこの世界に慣れてないでしょ?俺に任せて」
「そうだね。ありがとう、陽炎」
「どういたしまして」
「じゃあ詳しい説明は明日にしましょう。藍、夕飯の用意をして頂戴」
「解りました」
「手伝うよ」
「いい。今の君は客人なんだ。ゆっくりしておくといい」
「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらうね」
「あぁ。それじゃあ橙、皆にお茶を出しておいてくれ」
「うん。解った」
・・・それにしても、紫の友人って、どんな人なんだろう?
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