幻想少年創生録

□神様と魔法使いと人形使い
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「美味しいね」
「そうだな」
数分後。
二人は甘味処に来ていた。
そして―

「もう帰ろうぜ?魔理沙さんに悪いし・・・」
「「「却下」」」
―それを隠れながら眺める万屋一向、レミリア、咲夜の五人もいた。
それと梟が一体。
「フランが寺子屋でよかったわ・・・」
「そうですね。妹様なら爆発四散させてるでしょう」
「フラン怖いな・・・」

「はー。美味しかった。ご馳走様でした」
「ごっそさん」
「じゃあ、次はどこに行く?」
「そうだな・・・」
「あら?魔理沙じゃない」
少年は声のした方を向いた。
そこには、まるで人形のような女性がいた。
「おっすアリス。珍しいな、お前が人里にいるなんて」
「ちょっと用があったのよ・・・で、貴方は誰?」
「俺は魔理沙の友人の平野 陽炎。万屋をやってるんだ」
「あぁ。最近噂になってるあれね。私は『アリス・マーガトロイド』。よろしく」
「よろしくアリス」
「アリス、用って何だったんだ?」
「珍しいパーツが入ったっていう噂を聞いたから見に来たのよ」
「パーツ?」
「アリスは人形を使う魔法使いなんだ」
「へー!人形かー・・・パーツってことは、自分で作ってるの?」
「えぇ、そうよ」
「凄いね。俺だったらできないよ」
「嘘つけ。お前基本的になんでもできるじゃないか」
「いやいや、苦手なこともあるって。裁縫とか」
「ふーん」
「ところで、二人は何をしていたの?」
「デート」
「なっ!ち、違うぜアリス!全然デートじゃ・・・!」
「魔理沙、冗談だよ。そんなに嫌がらないでよ・・・」
「・・・馬鹿!」
「なんで俺罵倒されてるの!?」

「・・・安定の陽炎だった」
「でも、あいつあんな冗談言うようなやつだったっけか?」
「知らないわよ」

「・・・魔理沙。少しいい?」
「ん?あぁ。別にいいぜ」
「アリス、悪いけど、ここで待っててくれない?なんだったら甘味奢るし」
「そう。じゃあお言葉に甘えて」
「ありがとう。じゃあ少しだけ席はずすね」
少年は魔理沙を連れて店の外へ出た。
「お客さん!勘定!」
「ちょっと外の空気吸うだけだから。ごめんね」
「・・・で?何なんだ?」
「アリスには、咎人がついてる」
「なんだって!?」
魔理沙は少年の目を覗き込んだ。
確かに、少年の目は、あの不思議な色彩に変わっている。
「あいつ・・・どんな悩みがあるんだろう?」
「・・・人形に関して、かな」
「どうしてそう思うんだ?」
「さっき、人形の話が出た時、微かだったけど、もやが濃くなったんだ。それで、何か知らない?」
「うーん・・・人形か・・・そういえば、あいつ、完全に自立した人形を作るのが夢とか言ってたな」
「へぇー。凄い夢だね・・・ただ、うまくいくかどうか・・・」
「実際、一度も成功したことないらしいぜ」
「そう・・・多分、咎人が進入した原因はそれだね」
「あぁ・・・でも、どうするんだ?願いを叶えようにも、私にはそんな技術力はないし・・・」
「俺の世界でも、完全に自立した行動を取る人形はまだ出来てないし・・・とにかく、アリスの家にお邪魔しよう。他に方法があるかもしれない」
『それがいいな。実際、咎人を消せる方法はざらにあるんだしな』
「・・・遅いよ、アダム」
『悪い悪い。ちょっとゼウスと話してたんだ』
「ゼウスと?凄いなぁ・・・っと。とにかく、アリスの所に戻ろう」



「あら、遅かったわね」
「ごめんね。ちょっと気持ち悪くなってさ」
「大丈夫なの?」
「うん。もう平気」
「なぁ、アリス。この後お前の家に邪魔してもいいか?」
「あら、珍しい。どうして?」
「俺が頼んだんだ。アリスの人形、見てみたいから」
少年がそういうと、アリスのもやが少し薄れた。
どうして薄れたの?
『知らん』
「じゃあ行きましょうか」
「そうだね。あ、店員さん!勘定お願い!」

「・・・どうしたのかな?」
「どうも咎人があのアリスという少女に乗り移ったようですな」
「マジで!?」
「まぁ、でも陽炎ならなんとかするでしょ」
「そうね」
「で、なんでまた後をついてこうとしてるんだ、貴方達は・・・」
幻想郷に来てからツッコミキャラになったような気がする旧友であった。
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