幻想少年創生録

□神様、永遠亭で治療を受ける。
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〜迷いの竹林〜
ザッザッと二つの足音が迷いの竹林から聞こえる。
「妹紅はどこに住んでるの?」
「ここだよ」
「だからここの抜け方知ってるんだ・・・ところでさ」
「なんだ?」
「・・・なんか、目の前に落とし穴あるんだけど」
少年が目の前の地面を蹴ると、隠されていた穴がポッカリと口を開けた。
「あのさ、永遠亭って病院みたいなとこなんだよね?なんでこんなに罠があるの?数メートル先にもまたあるし・・・」
「あー・・・永遠亭に住んでるやつの仕業だな。『因幡 てゐ』っていう兎の妖怪がよく仕掛けてるんだ」
「へぇー・・・」
「・・・さぁ、着いたぞ。ここが永遠亭だ」
「あ、ここが・・・案内ありがとう、妹紅」
「どうってことないさ」
談笑している妹紅に向けて弾幕が撃たれる。
「なっ!?」
「チッ!」
妹紅はその弾幕を避けると、撃たれた方に自分の弾幕を撃った。
「またお前か輝夜!」
「え?ちょ、何!?え!?」
「あら、アダム!?久しぶりね!何か縮んだ?」
『ん?誰・・・あぁ。輝夜か』
「・・・え?ちょっと待って。月の民で輝夜って言えば・・・あのおとぎ話のかぐや姫!?」
『あぁ、そうだ。フルネームは『蓬莱山 輝夜』な』
「凄い!大物じゃん!」
『そうか?』
「そうだよ!」
「? どうしたのよアダム・・・それに、何よその耳と尻尾は」
「これをとるためにここに来たんだ。後、俺はアダムじゃないんだ。アダムは死んだ。それは閻魔様も確認してる。俺は、転生後の姿。アダムの魂を宿した人間なんだ。アダムの精神は残っているから、かわろうか?」
「えぇ、是非」
「じゃあアダム、出てきて」
『はぁ・・・いいかげん寝てぇんだけどな』
我慢してよ・・・
『「へぇへぇ・・・久しぶりだな輝夜」』
「久しぶり。調子はどう?」
『「死んで魂だけになってんのに、調子もクソもあるもんか」』
のわりには疲れたとか言ってるけど?
『黙れ』
「せっかく永琳が治療してあげたのに、わざわざ外の世界に行ったそうね」
『「仕方ないだろ。咎人の発生源は外にもあったんだから」』
「あっそう・・・それで?永琳には会ってくの?」
『「いや。悪いけど、今めっちゃくちゃ眠いんだ。このまま精神世界に戻ったら、多分寝る」』
「魂なのに休息が必要なの?」
そうだよ。
『「黙ろうか二人とも。神の魂なめんな。外じゃあ魂みたいな存在なんだよ、神は。それに、元々魂なんて不確定な存在なんだ。それがここに来て現実のモノとなった。それによる副作用だろ、多分。本来、俺はここにいるべきじゃねぇしな」』
「そうね。という訳で消えて頂戴」
『「テメェが呼び出しておいて、それはねぇんじゃないか!?分かった!もういい!帰る!んで寝る!かわれ陽炎!」』
はいはい・・・
「そうムキになんないの」
『・・・Zzzzzz』
「寝るの早っ!!」
「それで、貴方の名前は?」
「あ、ごめん。初めまして。俺は平野 陽炎。陽炎って呼んで」
「よろしく陽炎。アダムとは違って礼儀正しいのね」
「アダム・・・君何したの・・・?」
「・・・私は放置か」
「あ、まだいたの?さっさと帰りなさいな」
「えっと・・・あの、輝夜?なんで妹紅と仲悪いの・・・?」
「なんでもいいじゃない。さ、中に入りましょう」
「あ、うん。ちょっと待って・・・」
少年は輝夜にそう言うと、帰ろうとしていた妹紅に話しかけた。
「ねぇ。その、ごめんね?妹紅。仲が悪い人がいるのに、案内させちゃって」
「大丈夫だ」
「ありがとう妹紅。優しいんだね!」
「これくらい普通さ。じゃあ、それがなくなったらまた来る」
「うん。またね!」
「またな」
妹紅は少年に笑いかけると、人里へと帰っていった。
「話は終わったの?」
「うん。待たせてごめんね」
「じゃあついてきて」
「分かった」
少年は輝夜に案内され、永遠亭に足を踏み入れた。
「・・・あ!忘れるとこだった」
「?」
「ちょっと待ってね・・・あ、あった。はい、輝夜」
「夢見の水晶?なんで私に?」
「アダムが昔お世話になったところだし、お土産というか、お礼というか、そんなかんじで」
「そう。ありがたくいただくわ」
「後、永琳さんと・・・他に後二人いるって聞いたんだけど・・・」
「二人は買出しに行ってるわ。永琳は診療室にいるから、診察してもらう時に渡したら?」
「うん。そうする」
「・・・着いたわ。ここが診療室」
「ありがとう、輝夜。さて・・・あの!診察してほしいんですけど」
「どうぞ」
「失礼します」
少年が扉を開けると、そこには幻想郷よりは少年のいる世界に近い道具が置いてあったりした。
部屋の隅に置いてある机の前に座っている赤と紺青色の服を身に纏った女性が永琳なのであろう。
「永琳。アダムが来たわよ」
「え?・・・あら。本当にアダムじゃない。久しぶりね」
「輝夜。ちゃんと説明して・・・あの、永琳。俺は、アダムの転生後の姿であって、アダムじゃないんだ」
「あら、そうなの?アダムは?」
「寝てるよ」
「じゃあ起きたら行っておいてちょうだい。ちゃんと貸した5円返しなさいって」
「え?借りてたの?」
『!?・・・Zzzzzz』
アダム、若干焦ったね今。
「ごめんね。俺が払うよ・・・はい、五円。あ、後、お近づきの印とお礼」
「あら。ありがとう。別によかったのに」
「前世でお世話になってるんだ。ちゃんとお礼くらいさせてよ。それで、まぁ、これからもよろしく」
「えぇ。じゃあ、診察しましょうか」
「うん」
「じゃあまた後でね、陽炎。約束してた勝負、後でしてよ?」
「待って!何か不穏な台詞はいて立ち去らないで!?」
「ふふ。大丈夫よ。後で私からやめるように頼んでおくから。それで、今日はどうしたの?」
「あ、うん。実は

〜少年説明中〜

で、生えたんだ」
「・・・事項自得よ」
「ごめんなさい。おっしゃる通りです」
「それで?そのキノコは?」
「持ってきてる」
「なら・・・大体一週間程で薬は完成するわね。それまでここで生活してもらうわよ?」
「え・・・?マジですか?」
「マジよ。もう逃がさないわよ」
「・・・アダム。マジで前世で何したの?」
『・・・Zzzzzz!』
まだ寝たふりしてるし・・・
こうして少年は一週間永遠亭に住むことになった。
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