東方天使録

□紳士、自ら望んで幻想入りする。
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『グレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国』。
通称『イギリス』。
そう呼ばれる国の化身は、自分の家で摩訶不思議な行動を取っていた。
仮装のようなマントをはおり、魔道書片手に呪文をとなえていた。
「・・・遥かなる地より召喚され、さぁ出でよ!幻想の王女よ!」
イギリスの声に呼応するかのように、イギリスの目前にある魔方陣が輝き始める。
召喚された者が徐々にその姿を現し始める・・・
「こんにちは」
魔方陣から現れたのは、金髪で、奇怪な紫色の服に身を包んだ女性だった。
「・・・またかよ」
「え?」
「どうしてうまくいかないんだ!?この前はロシア!今度は女性!?何か間違ってたか!?」
「え?あの・・・」
「あ、すみません。つい取り乱してしまいました。始めまして、美しき御方。私はグレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国。イギリスとお呼びください」
「あら。これはご丁寧に。私は『八雲 紫』です。それにしても、貴方見る目があるわね」
「ありがとうございます・・・失礼ですが、貴方は一体何者ですか?」
「どういうこと?」
「・・・私は、魔術を嗜んでおります。たった今も召喚を行っていたところです。ですが、現れたのは魔物ではなく、Mis.八雲。貴方でしたので」
「そうだったのね。それなら、貴方が召喚しようとした者、私で合ってるんじゃないかしら?」
「・・・と、言いますと?」
「私は妖怪なの」
ようかいというと・・・Japanese Devilだよな?
じゃあ・・・
「貴方が、すきま妖怪なんですか?」
「えぇ」
・・・やっとだ。
やっと日本にあいつ等を会わせることができる・・・!
「・・・頼みがあります」
「何かしら?」
「私を、幻想郷に連れて行ってもらえませんか?」
「・・・理由を聞かせてもらえないかしら?」
「・・・知人を、助けたいんです」
「その知人は、妖怪なのかしら?」
「はい。妖怪です」
「そう・・・分かったわ。行きましょうか」
「Thank you!Mis八雲」
「紫でいいわ。じゃあ、覚悟が出来たらこの中に飛び込んでちょうだい」
紫がそう言うと、俺の目の前に不思議な空間への入り口が現れた。
「・・・・・」
河童、座敷童・・・今、行くからな。
「・・・行くぞ!」
俺は覚悟を固め、一歩前へと歩き出した。
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