東方天使録

□紳士とアンティーク
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「それじゃあ、案内頼むな」
早朝の博麗神社。
そこには三つの人影があった。
霊夢、魔理沙、イギリスの三人の人影だ。
霊夢は境内の掃除の為に外へ。
魔理沙とイギリスは、香霖堂へと向かう為に外へと足を運んでいるようだ。
「ちゃんと帰ってきなさいよ。夕食に遅れたら、もうないものだと思いなさい」
「はは。そりゃ遅れる訳にはいかねぇな。んじゃ、行って来る」
「行ってらっしゃい。魔理沙、イギリス頼むわね」
「おう!任せとけ!」
「それじゃ、案内してくれ。魔理沙」
「分かった」

〜紳士淑女移動中〜

「ここだぜ」
魔理沙、イギリスの二人は、魔法の森にあるとある店にたどり着いた。
看板に香霖堂と書かれている店の周りには、ガラクタと呼ぶに相応しい品々が転がっていた。
「・・・しっかし、いつ来ても瘴気が濃いな、ここは」
「気分悪くなったか?」
「いや、むしろ快調なんだが、普通の人間であるお前が来ても大丈夫なのかと思ってな」
「確かに私は人間だけど、一応【普通の魔法使い】だから大丈夫だぞ」
「じゃあ、お前の兄貴分の・・・この店の店主はどうなんだ?」
「香霖は人妖だから問題ないぜ」
「人妖・・・?人と妖のハーフって事か?」
「そういうこった。そんじゃ、そろそろ入ろうぜ」
「あぁ」
「香霖!入るぞー!」
「・・・ノックくらいしなって、何度も言っているだろ、魔理沙」
店内には、青年が一人だけいた。
白髪にクセ毛で眼鏡をかけている。
青年の手には本があり、読書の途中だった事が推測される。
「悪いな。俺が案内してくれって頼んだばっかりに」
「・・・まぁ。もう馴れてしまったし、別にいいんだけど・・・君は誰だい?」
「俺はグレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国。イギリスと呼んでくれ」
「イギリス・・・?」
青年は何を不思議に思ったのか、机の下から巨大な紙を取り出した。
「この紙に書いてある国に、そんな名前が・・・」
「あぁ。それ俺だ」
「・・・そういうことだい?」
「俺は国の化身だ。この世界で言う、アレだ。付喪神みたいなもんだ」
「そういうことか・・・それで、その化身がこの店に何の用だい?」
「・・・最近出現している生物は知っているか?」
「あぁ。ヒルとかいうアレか。確か、能力を封じるんだっけか」
「その通りだ。そいつについての情報を探しに来た」
「いいけど・・・僕はそれの情報を知らないし、ここにあるのは外から来た物ばかりだよ」
「それでいい。もしかしたら、外から来た書物に、ヒルの事が書いてあるかもしれないからな」
「そうかい・・・でも、何故紅魔館の図書館や『鈴奈庵』じゃないんだい?」
「紅魔館にはもう行ったし、鈴奈庵っつー所は最後だ」
「どうしてだい?」
「あそこにある妖魔本とかいうやつに載ってるかもしれねぇが、妖魔本は魔導書みてぇな物もあるし、危険が伴う」
「そういうことかい。まぁ、じっくり見ていってくれ」
「あぁ。ありがとな」
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