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□眼球愛者と七夕
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7月7日──つまり七夕。
お祭りごとが大好きな私のクラスメート達もキャアキャアと短冊を見せあっている。
今朝テレビで見てきた天気予報では曇りだったし、今現在も曇っているのだけれどよくもまぁこれほど楽しそうにできるものだと呆れ返る。

チラリと妬ましい友人──漣葉を覗けば、手にした二枚の短冊を見てニヤニヤと笑っている。
片方の短冊をしまい込み、残った方を笹に吊るす。

男女を問わず公平に接するアイツはクラス内ではまぁまぁの位置を獲得していて、様々な奴と会話している。

万っていう男子、零という女子。

日向の眼球に写る葉。
その視線が、こちらに向けられていないのが妬ましい。

机の上の短冊を見下ろした。
私の細い字で“特になし”と書かれた短冊には消した跡が残る。

【彼女の視線を奪えたら】

そのためにはやっぱり自分で動かないとダメだから。
お願いするのはやめにした。

私も短冊を摘まむようにして持ち上げ、笹の中に括る。
願わくば、良いタイミングが巡りますように。

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