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□粗末な眼球
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私は今、漣と共に保健室へと向かっていた。
漣の言い分によると、「新しい保健医の眼球について見に行こう」とのことだったが…。
漣のヤツ、何してるんだか万とかいうクラスメートとぎゃあぎゃあと騒いでいる。
本当になにしてるんだか。
暫く騒ぎを見つめているとその男の子と目があった。
目をジッと観察してみるが特に珍しい目でもない。
息をついて直ぐに視線を逸らした。
漣はひとしきり笑い転げるともう行こっかぁ、と行ってこちらに戻ってきた。

保健室に着くと漣がガラリと戸を開けて中に入る。
後に続いて私も入れば、デスクの前で足を組んで椅子に腰掛ける白衣の男。
白衣は前をはだけさせて、中のシャツがだらしなく出ている。
まぁ眼球と見た目は比例しないからね。

「やぁ、お嬢さん達。
 今日は一体何の用かな?」

椅子から立ち上がり、何故か私の目の前で視線を合わせる保健医。
ジッと視線を合わせること数秒。
もうわかりきったのでサッサと保健室を出たい。

「さ、何処が痛いのかn
「漣。私はこんな汚らしくて
 粗末で下品な瞳なんていらない。
 というか視界に入れるのも嫌だ」

思ったことはそのまま口から吐き出す。
ピシリと白く固まった保健医を尻目に漣をジトと見つめると、漣は芝居がかった様子で口を動かす。

「まぁ、そうだよねぇ。
 女の子たらすような保健医なんてクズ同様だしぃ?
 ま、殺すって言う手も考えたけど、零ちゃんのスカートめくりやがって…
 あの綺麗な脚を見たその目をくり抜いて、生きるのが辛いようにしてやろうかなぁ…って考えたけど…
 まぁ、弓月が言うようにこいつの目なんてくり抜いても何も良いこと無いよねぇ…。
 ま、苦しむ姿を見るのは楽しそうだからその点は僕自身楽しみたいけど。」

残念、と笑う漣を前に保健医は顔を青くしてブルブル震えている。
私はハァとため息をついて保健室を出た。

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