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□情報屋とアザミのストーカー相談
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この現代において、情報は最も強い武器であり、盾である。
最も強い武器と最も堅い盾では矛盾しているという人もいるだろう。
だがご心配なく、それは情報には当てはまらない。
なぜなら情報には鮮度があるからだ。
最も新しい情報は最強の矛で、対す情報は強固を語る紙きれである。

…というのが私の持論。
事実私は情報のみでここまでやって来た訳だし、この持論も随分な強度を誇れるようになった。
持論を手短に語ったところで現実について述べよう。

今私の新しい客の一人に妙な男がいる。
名前はアザミ、年は不詳、来る時来る時で性格や雰囲気がガラリと変わる。
そいつの紫色の髪が依頼を持ってくる度に心臓が冷たい手で撫でられる。

そんな彼が今こうしてまた依頼に来ている。

「…………ァ?何見てやがる」

今日は粗雑な態度らしい。

「いえ、特に。
 御依頼の件ですが…」

依頼内容の確認をしつつチラリと目をやる。

紫の髪は染め毛ではないようで、根元から紫色をしている。
書類を確認する彼の横顔は思いの外整っていて、瞬きの度に揺れる睫毛は思った以上に長い。

「…だから何見てやがんだ」

「!!!
 いえ…………」

少しチラッと見ただけなのに即座に気付かれた。
この安寧と平和の世界においてこの反応はやっぱりどこかの紛争地域とかにいたりとかしたのか…。

考えを打ち切るべく、集めた情報の整理を頭の中で行う。
黙々と脳内作業を進める中、不意に彼から声がかかった。

「ストーカーを追い払う方法ってねェか」

「…………ストーカー…ですか…」

ストーカー…の被害にでもあっているのだろうか…?
しかしこの男は見るからに危険人物、こんな彼につきまとう者など通り魔←
なんかみたいな偶然は兎も角、存在するのだろうか。
(SA☆ZA☆MI☆N きゃぴっ)

「いや、変なこと聞いて悪ィなァ」

私の沈黙を否定ととったのか、彼はそれきり黙り込んだ。
しまった、会話を伸ばすべきだった。

「ストーカーの被害にでも?」

「………!
 いや…シツコイクソ女がいてよォ」

「しつこい女ですか…
 ハッキリ言ってやるのはどうでしょう?」

「死ね、殺すぞ、つったら恍惚の笑みで寄ってくる」

「あーーー…」

それは異常な性癖もってる人種だと思う。
Mから始まってMで終わる一文字の言葉の。


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